project8(友達以上・恋人未満)


高校時代、理科系、柔道部という女っ気の全くない生活をしていた男は、大学に進学した。
男の通った学部は、教育学部で、女性が多い。男は痛切に思った。
「彼女がほしい!」
しかし現実はそんなに甘くない。大学1年生のとき、良く合コンに行った。
男のトークはなかなか女性受けしたが、受けるだけだった。
おかげで、女性の友人はたくさんできた。
大学2年のとき、研究室のコンパで、1つ上の先輩と知り合った。西村知美似の美人である。
容姿もさることながら、性格的にも意気投合した。何度か遊んでるうちに、男は彼女にお願いした。
「お姉さんと思って良いですか?」
現在男は、この台詞を思い出しながら書いているわけだが、今思えば、
「アホか!!」
という感じですよね。気のあった女性とこれからずっと付き合いたいのに、その煮えきれないお願いは何だ!
とにかく、そこから男と彼女のよくわからない「義姉弟」の関係が始まったのである。
その内容は、映画、食事、ドライブ等々。今考えれば、これって立派なデートじゃん。
バレンタインになればチョコももらえるし、彼女の方が年上なので、飯もおごってもらえるし、
何しろ、一緒にいると楽しかったので、それ以上は望まなかったし、
今の関係が壊れるのが怖かった
実際、周りの人たちの中には、2人がつきあっているように見えたらしい。
でも、本当は違っていた。この関係は3年以上続いた。
男が大学4年になったとき、彼女は社会人になった。彼女の懐はリッチになったが、逢える回数は減った。
彼女は学生時代から、「25歳までに嫁に行きたい」と言っていた。
彼女が25歳の時は、男は社会人2年目のはずである。順調に就職していれば、チャンスがあったかもしれない。
しかし、もろもろの事情があり。男は進学した。
彼女は社会人になって何故か柔道を始めた。(この理由は未だに謎??)
男が道場を紹介してやり、何度か一緒に練習もした。そしてある日、衝撃の告白を受けた。
「私、お見合いしようと思うんだけど・・・」
男は心の中ではパニック状態になったが、平静を装い、言葉を返した。
「すれば・・・」
正直、心にも無いことだったかもしれないが、学生であった男には、彼女に「やめろ」とは言えなかった。
いろいろ考えても、今の男に彼女をとめる権利はなかった。
実際付き合ってたわけではないし(このあたりが弱いなあ)。そして彼女は・・・
見合い相手と速攻で結婚してしまった。
男は、彼女のお祝いに、カラオケスナックで「いい日旅立ち」を歌った。彼女とはそれっきりだった。
結局、彼女とは、「友達以上、恋人未満」だったと思う。
そして何より
「運命の人じゃないのは確か」
だなあと。

その後の物語です。
男と彼女はいまだに、年賀状のやりとりを続けている。このあたりがなんとも2人のビミョーな距離を感じる。
男は、彼女との出逢いと別れを経験とし、その何年後かに、速攻でプロポーズをして結婚をしている。
かつての「煮えきらなさ」の反省は、男を大人にしたようである。
またその後の結婚生活においても、何かとプラスに作用しているようである。
平成14年8月、男と彼女は同窓会において15年振りに再会した。
久しぶりに会えて嬉しかった。そして単に懐かしかった。それだけである。郷愁ですね。
男も結婚10年目、彼女は3児の母である。そのとき思ったのが、結婚を決断するのは、結局勢いだな
ということ。その何者かに押されるがごとく状態になるのが運命の人なんでしょうね。
男女交際はどんな結末になっても、得る物は大きい!!