【会社法改正のポイント】
 
 来春施行予定の会社法の改正事項のうち、中小企業にとって特に重要な事項をピック
アップして、そのポイントを述べます。
 
1.法体系
 商法第2編、有限会社法、商法特例法等の各規定が一つの会社法にまとめられまし
た。
 
2.有限会社制度の廃止
 新会社法施行後は、有限会社を設立することができません。なお、既存の有限会社
は、経過措置により、存続可能です。
 
3.最低資本金規制の撤廃
 現行は、株式会社1,000万円、有限会社は300万円の最低資本金が必要ですが、こ
れが廃止されます。
 したがって、1円の資本金でも株式会社を設立することが可能です。
 ただし、純資産額が300万円未満の場合には、配当をすることができません。
 
4.類似商号規制の廃止
 新会社法施行後は、類似商号の禁止の規定が廃止されるので、同市町村内に同一の商
の会社が設立可能になります。
 ただし、既に登記されている他の会社と会社の目的が異なっていても、「同一住所」
では「同一商号」で登記することはできなくなります。
 
5.払込金保管証明制度
 新会社法施行後は、発起設立については、払込金保管証明制度が廃止され、払込があ
ることの証明手段として、残高証明によればよいことになります。
 したがって、一度振込が行われれば、設立登記前でも出資金の引き出しが可能になり
ます。
 ただし、募集設立は、引き続き、払込金保管証明制度が維持されます。
 
6.取締役の数
 株式会社では、最低3名の取締役が必要ですが、新会社法では、譲渡制限株式会社
は、取締役の員数を1人とすることも可能となります。
 
7.取締役会の設置
 株式会社は、取締役会の設置が義務付けられていますが、新会社法では、譲渡制限株
式会社では、取締役会の設置任意となります。
 また、譲渡制限株式会社の場合は、監査役の設置任意となります。
 
8.取締役・監査役の任期
 株式会社では、取締役の任期は2年、監査役の任期は4年ですが、新会社法では、譲
渡制限株式会社は、取締役・監査役の任期を、定款で最大10年まで延長できます。
 
9.合同会社制度の新設
 社員の有限責任が確保され、会社の内部関係については組合的規律(原則として全員
一致で定款の変更その他会社のあり方を決定し、社員自ら業務執行にあたるという規
律)が適用される特徴を有する合同会社が新設されます。
 
10.会計参与制度の新設
 新しく会計専門家が取締役と共同して計算書類の作成を行うことにより計算書類の信
頼性を高める会計参与制度が導入されます。
 会計参与は、税理士(税理士法人を含む)、公認会計士(監査法人を含む)がなるこ
とができ、株主総会で選任することになります。
 会計参与は任意の制度ですが、取締役会を設置した会社では会計参与を設置すること
監査役に代えることができます
 
11.期中の自己株式の取得
 現在、自己株式を買い受けるには、定時総会で決議する必要がありますが、新会社法
施行後は、臨時総会においても、買い取りに必要な取締役会への授権決議を行うことが
できます。
 
12.相続よる株式移転の制限
 現行では、株式移転について制限できるのは譲渡の場合だけとされておりますが、新
会社法施行後は、譲渡制限会社においては、定款の定めにより、譲渡以外の事由(
・合併)による株式移転を会社が承認しないこととすることができます。

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