【退職金の打切り支給】

1.概要
 役員や使用人に対する退職給与は、原則として現実に退職したときのみ損金にできま
す。しかし、所定の事実に基づき退職金を打切り支給した場合に、損金にできる方法が
あります。退職給与は金額も大きくなるため、節税効果も大です。取扱い規定を正しく理
解し、上手に活用したいものです。

2.役員退職金
 つぎのような役員の分掌変更、改選等の事実があり、実質的に退職と同様の事情であ
ると認められる場合には、その際に会社が支給した役員退職金は、損金算入すること
ができます。(法基通9-2-23)
1)常勤役員が非常勤役員になったこと
 代表権のある者および代表権はないが実質的に経営上主要な地位を占めてい
ると認められる者は除かれます。

2)取締役が監査役になったこと
 実質的に経営上主要な地位を占めていると認められる者および一定の株主等
は除かれます。

3)分掌変更等の後における報酬がおおむね50%以上減少すること

3.使用人退職金
1)退職金制度の改正等
 つぎの事実に際し、使用人に退職金を支給した場合に、その支給に相当な理由
があり、かつ、その後は既往の在職年数を加味しないこととしているときは、支給
年度に損金算入することができます。(法基通9-2-24)

(1)中小企業企業退職金共済制度等の年金制度への移行

(2)定年延長等に伴う退職給与規定の制定または改正

2)使用人が役員になったこと
 使用人が役員になった場合に、退職給与規定に基づきその者に使用人期間の
退職給与を支給したときは、支給年度に損金算入することができます。(法基通9-
2-25)

4.関係会社への転籍
 関係会社への転籍に際し支給する退職給与は、その転籍が名目的なものではなく、実
質が伴うものであり、退職給与規定に基づいているものであれば、純然たる退職給与に
なります。

5.注意事項
1)退職給与規定を整備し、それに基づいて支給してください。

2)過大な役員退職給与は、損金として認められません。

3)役員退職給与は、株主総会等の決議に基づき正しい損金経理の方法により計上しな
ければなりません。

4)定年延長に伴う退職給与の支給は、旧定年に達した使用人にのみ認められます。


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