【建物の修繕と節税】
賃貸建物の計画的で適切な維持管理は、
@ 建物の価値を維持できる
A 空室を防ぐ
B 家賃の下落を防ぐ
C 節税になる
D 資金繰りが容易
などのメリットがあります。
しかし、維持管理を怠ると、
@ 建物の老朽化が進む
A 空室が増える
B 家賃が下落する
C 節税対策が困難
D 突然に大きな修繕が必要となり資金繰りが困難
などのデメリットが発生します。
ここでは、節税対策にポイントを絞って述べさせて頂きます。
1.所得税
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・賃貸建物の収益は、不動産所得として課税されます。
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・修繕費として支出した費用は、必ずしも即座に費用になるとは限りません。
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・税務上、修繕費として費用となるものと、償却資産として計上して本体建物の耐用年数
にわたり費用としなければならない資本的支出とに分かれます。
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・所得税を節税するためには、計画的、継続的な維持管理が重要なポイントになります。
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20万円未満のもの、修繕の周期が概ね3年以内のものは修繕費とすることができま
す。
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それ以外のものについては、それが、通常の維持管理のための費用、または原状回
復のための費用なのかにより、判定します。
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資産の価値を高め、またはその耐用年数を長くするものが資本的支出とされます。
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修繕費と資本的支出の区分が明確でない場合、形式基準により判定することができま
す。
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2.相続税
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・相続税は遺産を相続した人に、相続した遺産の種類・金額に応じ課税されます。
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・現預金については、そのままの金額に課税されます。
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・土地については、路線化により評価し、小規模宅地等の減額特例により時価より相当
低く評価されます。
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・建物については、固定資産税評価額により評価されますが、時価のおおよそ5〜7割
程度といわれています。
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・土地・建物については、貸付状況に応じ所定の評価減の規定があります。
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・相続税の評価を下げるために、必要以上に現預金を残さないこと。
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・建物の評価は固定資産税評価額によるため、現預金を計画的な修繕に振替えること
により、相続税の評価額を低くした上で、収益力の高い資産を遺族に残すことができま
す。
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・必要以上に現預金を残すために、計画的な修繕を怠ると、収益力のない資産が残り、
多額の相続税が課税される上に、将来、大規模修繕のため多額の資金が必要になると
いったように、遺族が、見えない借金で苦しめられることになります。
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・相続税は、将来の収益力には課税しませんし、将来の収益力の低下を割引いてもくれ
ません。
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・よって、相続税対策の最大のポイントは、相続税評価を下げて、なおかつ、資産の収
益力を上げることであると、いえるでしょう。
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