【稲盛和夫の実学 経営と会計】

 京セラ創業者である稲盛和夫氏の著書「稲盛和夫の実学 経営と会計」の中に企業経営の
成功のヒントがたくさんあると思い、その要旨をまとめてみました。
 皆様の経営に活かせていただくことを、願ってやみません。

序章 私の会計の思想
 常識にとらわれず、本質を見極め正しい判断を重ねていくことが、絶えず変化する経
営環境の中では必要なのである。
 顧客が喜んで買ってくれる最高の値段を見抜いて、その値段で売る。その値決めは経
営と直結する重要な仕事であり、それを決定するのは経営者の仕事なのである。
 屋台から大きなフランチャイズ・チェーンに発展させる人もいるし、十何年屋台を引い
て何も財産を残せない人もいる。いい商売、悪い商売があるのではなく、それを成功に
導けるかどうかなのである。

第一章 キャッシュベースで経営する
 さまざまな会計上のプロセスを通じて計算されたペーパー上の「利益」を待つのではな
く、まぎれもなく存在する「キャッシュ」にもとづいて経営の舵取りを行うべきなのである。
 「キャッシュベースの経営」は、経営そのものを実際の「キャッシュ」の動きと「利益」とが
直結するように近づけていくことを意味している。

第二章 一対一の対応を貫く
 経営活動においては、必ずモノとお金が動く。そのときには、モノまたはお金と伝票が、
必ず一対一の対応を保たなければならない。
「一対一の原則」を守ることが、不正を防ぎ、社内のモラルを高め、社員一人一人の会
社に対する信頼を強くするのである。

第三章 筋肉質の経営に徹する
 本質的に強い企業にしようというのであれば、経営者が自分や企業を実力以上によく
見せようという誘惑に打ち克つ強い意志を持たなければならない。

第四章 完璧主義を貫く
 完璧主義をまっとうするのは難しいことだが、その完璧主義を守ろうとする姿勢がある
から、ミスが起りにくくなる。

第五章 ダブルチェックによって会社と人を守る
 複数の人間や部署がチェックし合い確認し合って仕事を進めていく。このような厳しい
システムが存在することによって、社員が罪をつくることを未然に防ぎながら、緊張感の
あるきびきびとした職場の雰囲気が醸し出されるのである。

第六章 採算の向上を支える
 採算を向上させていくためには、売上を増やしていくことはもちろんであるが、それと同
時に製品やサービスの付加価値を高めていかなければならない。付加価値を向上させ
るということは、市場において価値の高いものをより少ない資源でつくり出すということで
ある。

第七章 透明な経営を行う
 不正をなくすためにはまず経営者が自らを律する厳しい経営哲学を持ち、それを社員
と共有できるようにしなくてはならない。そして、公正さや正義といわれるものがもっと尊
重されるような社風をつくり上げ、そのうえで、一対一の対応のようなシンプルな原則が
確実に守られるような会計システムを構築するようにしなくてはならない。そうすれば、企
業の不祥事の大半は必ず防げるはずである。
 京セラが順調に発展することができたのも、確固たる経営哲学とそれに完全に合致す
る会計システムを構築することができたからだと考えている。


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