U.人のマネジメントA
2.現状維持バイアスを克服する
現状維持バイアスとは、より良い選択肢があっても、変化によるリスクや失敗を恐れて、現状を維持し続けようとする人間心理のことです。
上司が部下に成長してほしいと願っても、部下を放任していれば、現状維持バイアスが働き、部下の学習意欲や成長意欲が阻害され、外部環境の変化に対応できなくなります。
自ら変化できる組織を作るためには、上司が部下の働く環境を変える、チャレンジすることにインセンティブを与える、変化をチャンスに変える思考を身につけるための教育をするなど、部下が現状維持バイアスを克服できるよう、創意工夫をする必要があるでしょう。
3.コミットメント
コミットメントとは、目標を宣言することで、実現に向けた行動を自己制御することです。
夏休みの宿題を思い出せば理解が容易だと思いますが、人は将来の楽しみより現在の楽しみを重視し、今やるべきことを先送りしてしまうことがよくあります。
仕事においても、重要な仕事より、楽な仕事・好きな仕事が優先されて十分な成果が上げられないことが往々にしております。
上司が部下に成果を上げさせるためには、部下に自ら目標を表明させたり、実行計画を作成させることで、部下のチャレンジ意欲をかき立て、目標達成を助け、成長を促すことができます。
有言実行の習慣を身につけさせることで、部下の主体性を育み、仕事に対する責任感を高め、組織の成果につなげることができるのでしょう。
ただし、状況が変化したのに目標に固執して正しい対応ができなくなることがないよう、気をつける必要もあるでしょう。
4.ピア効果
ピア効果とは、同僚や仲間などがお互いの行動や生産性に影響を与え合うことです。
周囲の人が優秀であれば、それに刺激されて、追いつこうと努力するようになるといわれています。
人に見られていることが適度なプレッシャーになって、モチベーションの向上につながるのだと思われます。よく見られたいという承認欲求が、意欲をかき立てるのでしょう。
ただし、周囲のレベルが高すぎたり低すぎたりすると逆効果になるようです。
上司が部下の人員配置を考える際には、部下同士が切磋琢磨し合うことで、仕事への意欲や生産性が向上するようオープンでほどよい緊張感のある職場環境にすることも考慮する必要があるでしょう。
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