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【松下幸之助に学ぶ経営哲学】

〜その八 衆知を集める〜

 松下幸之助は『実践経営哲学』の中で、企業を経営していく上で衆知を集めることの大切さを、次のように述べています。

 

全員知恵経営の上により多く生かされれば生かされるほど、その会社は発展するといえる。

 

・いかに学問、知識があり、すぐれた手腕をもった人といえども、この“衆知を集める”ということはきわめて大切だと考えている。それなしには真の成功はありえないであろう。というのは、いかにすぐれた人といえども、人間である以上、神のごとく全知全能というわけにはいかない。その知恵にはおのずと限りがある。その限りある自分の知恵だけで仕事をしていこうとすれば、いろいろ考えの及ばない点、かたよった点も出てきて、往々にしてそれが失敗に結びついてくる。

 

・大切なのはかたちではなく、経営者心がまえである。衆知を集めて経営をしていくことの大切さを知って、日ごろからつとめて皆のを聞き、また従業員が自由にものを言いやすい空気をつくっておくということである。そういうことが日常的にできていれば、事にあたって経営者が一人で判断しても、その判断の中にはすでに衆知が生きているといえよう。

 

・経営者みずからが衆知を集めてものを考え、仕事をしていくことも大切だが、それとともに、できるだけ仕事を任せて部下の人々の自主性を生かすようにしていくことも、衆知を生かす一つの行き方である。そうすることによって、その場その場で、それぞれの人の知恵が最大限に発揮され、会社全体としては、衆知が生かされることになる。

 

・あくまで自分の主体性をもちつつ、他の人の言葉に素直に耳を傾けていく。いいかえれば、経営者としての主座というものをしっかり保ちつつ衆知を集めていくところに、ほんとうに衆知が生きてくるのである。

 

 どんな優秀な経営者であっても完璧であることは不可能です。一方で、企業を取り囲む環境は絶えず変化し、その変化に対応できなければ企業は存続できないでしょう。変化に対応するためには、新たな知恵を生み続けなければなりませんが、そのためには、広く他人の意見を聞き多様な知恵が生まれやすくすることが大切になるでしょう。

 他人の意見を集めるためには、組織を誰もが発言しやすい風通しのいい環境にする必要があります。そして、経営者には異なる意見を歓迎する姿勢で、どんな意見も受け止める包容力が必要となるでしょう。

 また、広く他人の意見を集めても、他人に振り回されて真に大切なものを見失わないようにするために、経営者がゆるぎない理念と明確なビジョンを持った上で、様々な視点の様々な意見を熟慮し本当に必要な知恵を取り入れるための判断力が求められるのでしょう。

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