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【行動経済学に学ぶビジネス戦略】

〜プロローグ〜

1.行動経済学とは

 新しい経済学として行動経済学が注目されています。

 従来経済学が「人間は合理的利己的に行動する」ことを前提としているのに対して、行動経済学は、「人間は非合理的であったり、利他的であったりもする」ことを前提にしています。

 人間が直感感情などの心理的要因に動かされて行動する現実に即して分析する経済学が行動経済学と言えるでしょう。

 そのため、現実の経済社会において利用できる理論が多くあります。

 

2.ビジネス戦略

 行動経済学は、経済行動の意思決定のプロセスを扱っているため、様々なビジネスシーンにおける戦略立案にも役立ちます。

 消費者心理の分析によるマーケティング戦略、行動心理の分析による人事マネジメントにも活かせます。

 さらに、認知バイアス(歪み)の自己分析により、経営意思決定の向上にも役立てることも可能です。

 

3.マーケティング戦略

 商品が売れる仕組みを作るマーケティングは、行動経済学そのものとも言えるでしょう。

 例えば、和食店のメニューでよく見る「松竹梅」は、「竹」を注文して欲しいときに、それより高価格の「松」と低価格の「梅」をメニューに加えることで、中間価格帯の「竹」を注文することを促しているのです。

 これは、行動経済学で言う極端回避性などを利用したマーケティング戦略とも言えます。

 期間限定数量限定先着何名様限定などの販売手法も、まさに行動経済学の実践と言えるでしょう。

 

4.人事マネジメント

 人事マネジメントにも行動経済学は活用できます。

 例えば、行動経済学でよく使われる用語にフレーミング効果があります。表現方法を変えるだけで伝わり方が変わることを利用するものです。

 上司が部下に協力を求めたいときに「君が協力してくれないから上手くいかない」と言う換わりに「君が協力してくれればきっと上手くいく」と言えば、部下の協力も得やすくなるでしょう。

 また、行動経済学に、人々のよりよい行動変容を促す「ナッジ」という手法があります。

 例えば、最近、男性トイレの小便器にハエの絵のシールを貼っているのを見ることがありますが、利用者がそれをめがけて用をたすことで、きれいにトイレを使うことを促して、清掃にかけるコストの低減を図っているのです。

 このように、人々が主体的によりよい行動をするよう促すのが「ナッジ」です。

 

5.経営意思決定

 行動経済学は認知バイアスに着目してその理論を形成していますが、そのバイアスの起こる仕組みを理解すれば、経営意思決定の向上に役立てることも可能です。

 例えば、人は、2年後の2万円より今の1万円を選ぶ傾向があると言われていますが、このように現在の効用を過大評価することを「現在バイアス」と呼びます。

 経営者が現在バイアスに引きずられて、近視眼的にしかものを見られなくなれば、会社の長期的発展は覚束なくなります。

 経営者は、日々、大小様々な意思決定の必要に直面しますが、バイアスに引きずられて正しい判断ができなくなることを回避し、迅速かつ的確に意思決定するために、行動経済学の知見が大いに役立つでしょう。

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