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【ビジネスリーダーのための論語講座 Part11】

〜渋沢栄一『論語と算盤』より”常識と習慣@”〜

V.常識と習慣

1.常識とは

 常識とは、事に当たるのに極端に走らず、頑固に陥らず、是非善悪を見分け、利害得失を識別し、言動挙動のすべてが中庸に適うものです。これを学理的に解釈すれば、「」の三者がそれぞれ均衡を保ち、平等に発達したものが完全な常識だと考えます。

 

2.

  人として智恵が十分に発達していなければ識別する能力に欠き、物の善悪是非や、利害得失を十分に識別できないとすれば、その人にいかなる学識があっても、善い事を善いと認めたり、利ある事を利ありと分からないから、学問も宝の持ち腐れになります。このことを思えば智恵がどれほど重要か分かるでしょう。

 

3.

  智にを巧みに取り入れないと、智も十分に力を発揮できません。頭はよくてもまるで情愛の薄い人間はどうでしょうか。利益のためなら人を突き飛ばして平気でいます。もともと智恵が働く人は、何事も原因と結果を知ることができるが、この人物に情がなかったらたまりません。見透かした結果を悪用して、我欲のためにどこまでもやり通します。どんなに他人が迷惑し苦労しても、全く気になりません。そこを調和させるのがつまりは情です。情は一種の緩和剤で、何事もこれが付け加わって均衡を保ち、円満な解決を導くのです。

 

4.

 人の喜怒哀楽愛悪欲による変化はすさまじいから、情をおさえるものがないと、感情に走りすぎる恐れがあります。そこで意志の必要が生じるのです。感情を抑えられるのは意志しかありません。意は精神作用の根源です。強固な意志のある者は、強固な人間として生きるでしょうが、無駄に意志ばかり強くて、情も智もない人間では、ただの頑固者・強情物に過ぎず、根拠のない自信ばかり強くて自分の間違いを認めません。認めないから改めません。どこまでも我を通します。

 意志の強固に聡明な智恵を加え、これを情愛で調節し、三者を適度に調合したものを大きく発達させたのが、はじめて完全な常識と言えるのです。

 

5.口は禍福の門

 の起こるでもありますが、福祉の生じるでもあります。だから、福祉を招くためには、多弁があえて悪いとは言い切れませんが、禍を起こさないためには、言葉を慎まなければなりません。ちょっとした言葉といえども、けっしてみだりに使わずに、言葉が招く禍福について慎重に考えることは、誰にとっても忘れてはならない心得でしょう。

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