business forum kobe 21
トップページ >経営 >ビジネスリーダーのための菜根譚講座 その十三

【ビジネスリーダーのための菜根譚講座 その十三】

1.善行の成果

『善をなしてその益を見ざるも、草裡(そうり)の東瓜(とうか)のごとく、自らまさに暗に長ずべし。悪をなしてその損を見ざるも、庭前の春雪のごとく、まさに必ずひそかに消ゆべし。』(前集一六四)

 

(訳)善行を積んでも、成果の現れないことがある。それでも、草むらに隠れている瓜のように、人目につかないところで実を結んでいるものである。悪事を働いても、報いの現れないことがある。それでも、庭先に積もった春の雪がいつの間にか消えてなくなり地表があらわになるように、悪事も人の目にさらされるものである。

 

 ビジネスにおいても、正しい努力を積み重ねたからといって、すぐに周囲評価されるとは限りません。それでも、正しい努力を積み重ねていくことが、いずれ、大きな成果につながり、周囲にも評価されるようになるのでしょう。

 逆に、見つからないからといって、不正に手を染めてしまうと、必要な努力を怠り、真の成功から遠ざかり、いずれ、その不正も隠し通せなくなるものなのでしょう。

 人が見ていようが見ていまいが、正しい行為をなし、不正な行為はなさない。周囲の目より自己の信念を拠りどころとして行動する。そういった行動がリーダーには求められるのでしょう。

 

2.勤勉と倹約

『勤は徳義に敏し、しかるに世人は勤を借りてもってその貧を救(すく)う。倹は貨利に淡(あわ)し、しかるに世人は倹を借りてもってその吝(りん)を飾る。君子身を持するの符は、かえって小人が私を営む具となる。惜しいかな。』(前集一六六)

 

(訳)勤勉とは、道徳実践にはげむという意味だが、世間では、貧困を抜け出す手段だと思われている。倹約とは、利益の追求に走らないという意味だが、世間では、ケチの口実に使われている。この二つは、君子にとって人格向上のためのお守りであるが、小人が私利私欲を図る道具になってしまっている。残念なことである。

 

 生活に困っていなくても勤勉に働く人は多くいます。生活に困っているのに勤勉に働かない人も多くいます。勤勉に働くことは、生活の糧を得るため以上に、その働きを通じて社会貢献し、自らの人格向上させることにこそ、真の意味があることをリーダーたるものは自覚すべきなのでしょう。

 倹約を口実に他人にケチなふるまいをする人が多くいますが、本当の倹約とは、自らの利益には淡泊で、他人に適切な施しをするために無駄な支出を抑えることなのでしょう。ビジネスにおいて健全利益を得るためには、リーダーが正しく倹約の意味を理解する必要があるのでしょう。

経営のトップページへ
トップページへ
copyright (c) 2006 business forum kobe21 all rights reserved.