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【松下幸之助に学ぶ経営哲学】

〜その六 ダム経営〜

 

 松下幸之助は『実践経営哲学』の中で、企業が堅実に発展していくためのダム経営の考え方を、次のように述べています。

 

ダムというのは、河川の水をせきとめ、たくわえることによって、季節や天候に左右されることなく、常に必要な一定量の水を使えるようにするものである。

 

・ダムのようなものを、経営のあらゆる面にもつことによって、外部の諸情勢の変化があっても大きな影響を受けることなく、常に安定的な発展を遂げていけるようにするというのが”ダム経営”の考え方である。

 

設備のダム、資金のダム、人員のダム、在庫のダム、技術のダム、企画製品開発のダムなど、いろいろな面にダム、いいかえれば、余裕ゆとりをもった経営をしていくということである。

 

・気をつけなくてはいけないのは、設備のダムとか在庫のダムというものは、いわゆる過剰設備過剰在庫とは違うということである。単なる過剰設備、過剰在庫などはいわば経営のムダである。

 

・大切なことは、いろいろかたちに現れた経営のダムもさることながら、それ以前の”のダム”というか、”そのようなダムを経営のうちにもつことが必要なのだ”と考える”ダム意識”ともいうべきものである。

 

 企業に対するニーズは、時代の変化に伴う社会の変化、価値観の変化、生活様式の変化などにより、絶えず変化していきます。にもかかわらず、既存製商品サービス経営資源100%を投入していたのでは、需要の変化に全く対応できず、企業の衰退は必然のものとなるでしょう。

 全社員が目の前の仕事に忙殺されていると、企業は僅かな外部環境の変化にも対応できなくなります。既存の商品が売れなくなってから新たな商品を開発しようとしても、他社に先を越されて、競争力を失うことになります。余剰資金や調達余力がなければ、不測損失にも新たなビジネス機会にも対応できなくなります。

 つまり、経営にムダではない経営資源の″ゆとり″をもち、諸情勢の変化に対応できる力を蓄えることが、変化を先取りし、不測事態に対処し、企業を安定的に発展させることにつながると、松下幸之助は説いているのでしょう。

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