〜「イノベーションと企業家精神」より、"イノベーション"〜
1.企業家と企業家精神
企業家には意思決定が必要である。意思決定の本質は不確実性にある。意思決定を行うことのできる人ならば、学ぶことによって、企業家的に行動することも企業家となることもできる。企業家精神とは気質ではなく行動である。しかもその基礎となるのは、勘ではなく、原理であり、方法である。
企業家精神の原理とは、変化を当然のこと、健全なこととすることである。
企業家精神とは、すでに行っていることをより上手に行うことよりも、まったく新しいことを行うことに価値を見出すことである。
企業家自身は、変化を引き起こさないかもしれない。しかし、変化を探し、変化に対応し、変化を機会として利用する。これが企業家および企業家精神の定義である。
2.イノベーション
企業家はイノベーションを行う。イノベーションは企業家に特有の道具である。イノベーションは富を創造する能力を資源に与える。それどころか、イノベーションが資源を創造する。
イノベーションは技術に限らない。モノである必要でさえない。既存の資源から得られる富の創造能力を増大させるのも、すべてイノベーションである。
3.七つの機会
イノベーションの機会は七つある。
第一が予期せぬことの生起である。予期せぬ成功、予期せぬ失敗、予期せぬ出来事である。
第二がギャップの存在である。現実ににあるものと、かくあるべきものとのギャップである。
第三がニーズの存在である。
第四が産業構造の変化である。
第五が人口構造の変化である。
第六が認識の変化、すなわちものの見方、感じ方、考え方の変化である。
第七が新しい知識の出現である。
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