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【韓非子に学ぶ組織運営術 その四】

1.適材適所

『それ物にはよろしき所あり、才には施す所あり。各々そのよろしきにおる、故に上すなわち無為なり。鶏をして夜を司(つかさど)らしめ、猫をして鼠を捕らえしめて、皆その能を用うれば、上すなわち無事なり。上に長とする所あれば、事すなわち方ならず。矜(きょう)にして能を好めば、下の欺(あざむ)く所となり、弁恵にして生を好めば、下はその才に因る。上下用を易(か)う、国は故に治まらず。』

 

(訳) 物を役立てるには適所があり才能を働かせるにも用いる所がある。臣下をそれぞれその適応した所においたなら、君主はことさらなことをしないでおれる。鶏には夜の時を告げさせ、猫には鼠を捕らえさせるというように、全てそれぞれの能力活用していけば、君主は細かい仕事をしないでおれる。君主が自分の長所として意識する所があると、万事につりあいが取れない。気位が高くて自分の才能を頼みにしていると、臣下がつけ込んで欺くことになる。口達者の知恵者で自分の性格にうぬぼれていると、臣下はそれを手がかりに取り入ることになる。こうして上の者と下の者とがその行為を取り替えるようなことをすると、そこで国が乱れる。

 

 経営者組織生産性を上げるためには、部下適材適所に配置する必要があるでしょう。人はそれぞれ、違う能力経験性格価値観欲求等を持っています。その違う特性を活かせる仕事をそれぞれに与えることができれば、組織の様々な部門において部下の貢献を引き出すことができ、生産性を上げることが可能となるでしょう。

 その際に、自分の長所より部下の長所を活かすことを優先する必要があるでしょう。そうすれば、部下がやりがいを感じて生き生きと働くことができ、組織の求心力も高まることでしょう。

 

2.正しい目標

『一を用うるの道は、名をもって首となす。名正しければ物定まり、名かたよれば物うつる。故に聖人は一を執りてもって静まり、名をして自ら命ぜしめ、事をして自ら定めしむ。その才をしめさず、故に下素正なり。よりてこれに任じ、自らこれをつとめしむ。』

 

(訳) 唯一の政道を実行していく方法は、名分を立てることが第一である。名分が正しく立つなら物事は安定するが、名目が間違っていると物事は動揺する。だから聖人は唯一の政道を守って静寂を保ち、名分として臣下の言動が自ずから現れ、臣下の実績が自ずから安定するようになる。上の者が才能をひけらかさないから、臣下は素直でいられる。その状態で任用すれば、臣下は自らその勤めを果たそうとする。

 

 経営者組織経営するにあたり、まず第一にすべきことは、組織の目的を明確にし、それを達成するための目標を設定して、組織が一丸となって同じ目標に向かえる環境を作ることでしょう。

 それができれば、部下自発性が高まり能力が発揮しやすくなるでしょう。部下の自発性が高まれば、経営者はことさら動く必要がなく、要所を押さえるだけで、組織が安定するようになるでしょう。

 逆に組織の目的が明確でなく、目標も定まっていなければ、部下の動きもバラバラになり、組織は混乱し不安定なものとなるでしょう。

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