〜「経営者の条件」より、"成果をあげる能力を修得せよ"〜
1.成果をあげることは使命
経営者が成果をあげることは個人の自己開発のために、組織の発展のために、そして現代社会の維持発展のために死活的に重要な意味をもつ。
成果をあげるための第一ステップは、時間が何に使われているかを記録することである。すなわち時間の分析であり、時間を浪費する要因の除去である。
第二のステップは貢献に焦点を合わせることである。経営者は、貢献に焦点を合わせることによって、手段ではなく目的を中心に考えるようになる。
経営者は、強みを生かすことによって個人の目的と組織のニーズを結びつけ、個人の能力と組織の業績を結びつけ、個人の自己実現と組織の機会を結びつける。
最も重要なことに集中する段階で経営者が発展させるべきものは、情報ではなく、洞察、自立、勇気など人にかかわるものである。聡明さや才能によるリーダーシップではなく、持続的で献身、決断、目的意識によるリーダーシップである。
成果をあげるための意思決定とは合理的な行動に関わるものである。正しい基準と手順を追うことによって責任ある判断を行えるよう自らを育て磨くことができる。
成果をあげる経営者の自己開発とは真の人格の形成でもある。それは機械的な手法から姿勢、価値、人格へ、そして作業から使命へと進むべきものである。
2.現代社会に不可欠なもの
経営者の成果をあげる能力が、現代社会を経済的に生産的なものとし社会的に発展しうるものとする。
知識労働者の生産性の向上の鍵は経営者の成果をあげる能力である。経営者の水準、基準、規律が経営者のまわりの他の知識労働者の動機、方向づけ、献身を大きく左右する。
知識労働者も経済的な報酬を要求する。だが、報酬だけでは十分ではない。知識労働者は機会、達成、自己実現、価値を必要とする。そのために、自らを成果をあげる者にしなければならない。
経営者の成果をあげる能力によってのみ、現代社会は、個人からの貢献を得るという組織のニーズと、自らの目的の達成のための組織を使うという個人のニーズを調和させることができる。したがってまさに経営者は成果をあげる能力を修得しなければならない。
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