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【韓非子に学ぶ組織運営術 その三】

1.静かに見極める

『人主の道は、静退もって宝となす。自ら事を操(と)らずして、拙と巧とを知り、自ら計慮せずして、福と咎(きゆう)を知る。これをもって言わずして善く応じ、約せずして善く増す。言すでに応ずれば、すなわちその契を執り、事すでに増さば、すなわちその符を操り、符契の合う所は、賞罰の生ずる所なり』

 

(訳)君主の道は、静かに身を退けることが貴重となる。君主は自分では仕事をしないでいて、臣下の仕事の巧拙を見分け、自分では思慮をめぐらせないでいて、臣下の思慮の良し悪しを見抜く。そこで、君主は無言でいても、臣下は君主の意向に応じてよく発言し、臣下をしばりつけたりしなくても、臣下の仕事はよくはかどる。臣下の意見が出たとなれば、それを割符の半分として手に取り、臣下の仕事がはかどったとなれば、それも割符の半分として取っておく。それらの割符をつき合わせたうえで、が行われるのである。

 

 経営者が現場にしゃしゃり出て何でもかんでも自分でやってしまえば、部下は育たなくなるでしょう。経営者の本来の仕事は、部下の主体性を引き出す環境を作り、静かに部下の働きを見極めて、部下の上げた成果を部下の立てた目標に照らして正当に評価し、それを基に賞罰を行うことでしょう。

 

2.好き嫌いを隠す

『君悪みを見(あら)わせば、すなわち群臣は端を匿(かく)し、君好みを見わせば、すなわち群臣は能を誣(し)いる。人主欲を見わせば、すなわち群臣の情態はその資を得るなり。故に曰く、好みを去り悪みを去れば、群臣は素を見わすと。群臣素を見わせば、そなわち人君は蔽(おお)われず。』

 

(訳)君主だと思うことを外に見せると、群臣は君主の嫌がることの端々を隠し、君主が好きだと思うことを外に見せると、群臣はそれにあわせてありもしない才能をあるように見せかける。君主がその欲望を外に見せると、群臣の動きはその手がかりを得たことになるのである。だから、「君主が好き嫌いを表さなければ、臣下はのままの姿をあらわす。」と言われている。臣下が素のままの姿をあらわせば、君主は、臣下を見誤ることはない。

 

 経営者好き嫌いをあからさまに表に出せば、部下本性を隠して、経営者の好き嫌いに合わせて機嫌を伺うようになるでしょう。そうなれば、経営者は部下の本音意見を聞くこともできず、部下の本当の長所を引き出すこともできなくなるでしょう。

 経営者が変化に対応して組織をイノベーションしていくためには、広く衆知を集めて改善に活かし、部下のそれぞれの得意とするところを貢献に活かす必要があります。そのためにも、経営者は、からタイムリーに有益な情報が上がる風通しのよい組織にすることを心がける必要があるでしょう。

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