〜その二 経営理念を確立する〜
松下幸之助は『実践経営哲学』の中で、「経営理念」について、つぎのように述べています。
・事業経営において、いちばん根本になるのは、正しい経営理念である。
・経営理念をもつとは、”この会社は何のために存在しているのか、この経営をどういう目的で、またどのようなやり方で行っていくのか”という点について、しっかりとした基本の考え方をもつということである。
・正しい経営理念が根底にあってこそ、人も技術も資金もはじめて真に生かされてくる。
・大勢の従業員を擁して、その心と力を合わせた力強い活動を生み出していく基盤となるのも経営理念である。
・刻々に変化する社会情勢の中で、次々と起こってくるいろいろな問題に誤りなく適正に対処していく上で基本のよりどころとなるのは、その企業の経営理念である。
・経営理念というものは、何が正しいかという、社会の理法、自然の摂理にかなった人生観、社会観、世界観に深く根ざしたものでなくてはならない。
・正しい経営理念は、昔も今も将来も、日本においても外国においても通じる永遠不変なものである。
松下幸之助は、「経営理念」を企業経営にとって最も大切なものと位置づけています。
経営理念とは、企業の存在意義、使命、経営方針など、企業経営の拠り所となる基本の考え方を定めたものといえるでしょう。
企業経営を成功させるには、経営三大資源である「ヒト・モノ・カネ」が生産的に活かされる必要があるといわれています。
正しい経営理念は、ヒトを同じ一つの正しい目的に向かわし、力強い活動の動機づけになります。
また、正しい経営理念は、生産に必要なモノを正しく効率的に活用する拠り所にもなります。
さらに、正しい経営理念は、カネを正しく集めて、正しく使い、正しく利益を配分して共栄を図る拠り所にものなります。
経営理念を正しいものにするためには、社会正義や自然の法則にかなった普遍的な価値観に基づく必要があるでしょう。
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