〜人を説得する十二原則B〜
3.おだやかに話す、イエス≠導く、しゃべらせる
「相手の心が反抗と憎悪に満ちているときは、いかに理をつくしても説得することはできない。子供を叱る親、権力をふりまわす雇い主や夫、口やかましい妻・・・、こういった人たちは、人間は自分の心を変えたがらないということをよく心得ておくべきだ。人をむりに自分の意見に従わせることはできない。しかし、やさしい打ちとけた態度で話しあえば、相手の心を変えることもできる。」
「もし相手を自分の意見に賛成させたければ、まず諸君が彼の味方だとわからせることだ。これこそ、人の心をとらえる一滴の蜂蜜であり、相手の理性に訴える最善の方法である。」
「親切、友愛、感謝は世のいっさいの怒声よりもたやすく人の心を変えることができる。」
「人と話をするとき、意見の異なる問題をはじめに取りあげてはならない。まず、意見が一致している問題からはじめ、それを絶えず強調しながら話を進める。互いに同一の目的に向かって努力しているのだということを、相手に理解させるようにし、違いはただその方法だけだと強調するのである。」
「最初は、相手にイエス≠ニいわせるような問題ばかりを取りあげ、できるだけノー≠ニいわせないようにしておく。」
「相手にいったんノー≠ニ言わせると、それを引っこめさせるのは、なかなか容易なことではない。ノー≠ニ言った以上、それをひるがえすのは、自尊心が許さない。ノー≠ニ言ってしまって後悔する場合もあるかも知れないが、たとえそうなっても、自尊心を傷つけるわけにはいかない。言い出した以上、あくまでもそれに固執する。だから、はじめから、イエス≠ニ言わせる方向に話を持っていくことが、非常に大切なのだ。」
「相手を説得しようとして、自分ばかりしゃべる人がいる。相手に十分しゃべらせるのだ。相手のことは相手が一番よく知っている。だから、その当人にしゃべらせることだ。
相手の言うことに異議をはさみたくなっても、我慢しなくてはいけない。相手がまだ言いたいことを持っているかぎり、こちらが何を言ってもむだだ。大きな気持ちで辛抱強く、しかも、誠意を持って聞いてやる。そして、心おきなくしゃべらせてやるのだ。」
「敵をつくりたければ、友に勝つがいい。味方をつくりたければ、友に勝たせるがいい。」
ビジネスの様々なシーンにおいて、交渉の必要がでてきますが、何事もなく交渉が成立することの方が少ないでしょう。
利害がいつも一致するとは限らず、おまけに交渉する相手は、考え方も性格も自分とは違う感情を持った人間です。ちょっとしたボタンの掛け違いで交渉が決裂することもしばしばあるでしょう。ましてや、こちらが自分の都合ばかりを声高に叫ぼうものなら、相手を説得するどころか、不快な思いをさせてしまうことでしょう。
交渉を上手く成立させるためには、まず相手の話を粘り強く聞くことから始めるべきでしょう。その中で、相手が肯定しやすい課題から話を積み重ね、同じ目標に向かって交渉している仲間同士であるという意識を共有できるよう努力すべきでしょう。その際に、相手の自尊心を傷つけないように、誠実かつ親切に接するべきでしょう。
そうすれば、相手はこちらの望むことを受け入れやすくなり、交渉の目的を果たすことが可能となるでしょう。
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