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【ビジネスリーダーのための菜根譚講座 その六】

1.成功を妨げるもの

燥性(そうせい)なるは火のごとく熾(さか)んに、物に遇えばすなわち焚(や)く。寡恩(かおん)なるは氷のごとく清く、物に逢えば必ず殺す。凝滞固執するは、死水腐木のごとく、生機(せいき)すでに絶ゆ。倶(とも)に功業を建て福祉を延べ難し。』(前集六九

 

(訳)落ち着きがなく騒がしいのは燃えさかるのようなもの、出合う者を焼きつくしてしまう。恩情のないのは冷たい氷のようなもの、出合う者のやる気を殺してしまう。頑なに固執するのは溜まり水や朽木のようなもの、生き生きとした活力を失っている。このような人といると、成功幸せも得ることができない。

 

 衝動的な言動を繰り返す人は、周囲を引っ掻き回して混乱の原因となるのでしょう。薄い打算的な人は、共に働く人のやる気を奪うのでしょう。頑固に自分の考えに固執する人は、進歩できずに活力を失うのでしょう。

 リーダーたる者は、冷静沈着に、愛情深く、かつ、柔軟で臨機応変な活力ある行動が求められ、そうすることで、周囲の人と共に成功幸せを分かち合うことができるのでしょう。

 

2.事業を堅実に進めるために

『未だ就(な)らざるの功を図るは、すでに成るの業を保つにしかず。既往の失を悔ゆるは、将来の非を防ぐにしかず。』(前集八十)

 

(訳)見通しの立たない事業を計画するよりも、すでに軌道に乗った事業を維持発展せる方がよい。過去の失敗後悔するよりも、将来の失敗に備えるが方がよい。

 

 今の事業が少し上手くいかないだけで、雲をつかむような儲け話に心を奪われることがあるでしょう。しかし、これまで培ったものを放棄して、新しいものに飛びつくよりも、足下を見つめ直して、今の事業の改善改革を行う方が成功の近道なのでしょう。今の事業を発展させる中で、機会を捉えて新しい事業にチャレンジできれば成功の確率も上がるのでしょう。

 また、すでに起きてしまった失敗を、いくら悔やんでみても、元には戻りません。それよりは、過去の失敗をにして、将来の様々なリスクを想定して予防策を講じることが、事業の成功につながるのでしょう。

 

3.中道

『気象は高曠(こうこう)なるを要して、しかも疎狂(そきょう)なるべからず。心思は密(しんみつ)なるを要して、しかも瑣屑(させつ)なるべからず。操守は厳明なるを要して、しかも激烈なるべからず。』(前集八一)

 

(訳)理想は高く持つべきだが、現実離れしてはならない。思考は周到にめぐらすべきだが、末節にとらわれてはならない。節操は厳しく守るべきだが、厳格すぎてはならない。

 

 リーダー理想目標を高く持たなければなりませんが、それが現実離れしたものであると下の者がついて来られなくなります。また、リーダーは様々な観点から周到に思考を巡らさなければなりませんが、枝葉末節にこだわり細かすぎると下の者がうんざりしてしまいます。さらに、リーダーは厳しく節操を保つ必要がありますが、厳格すぎると下の者に敬遠されてしまいます。

 リーダーがより多くの人望を集めるためには、厳しさと共に周囲への配慮あるバランス感覚が必要になるのでしょう。

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