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【ビジネスリーダーのための菜根譚講座 その三】

1.立場を変える

『卑(ひく)きにおりて後、高きに登るの危うきたるを知る。暗きにおりて後、明るきに向かうのはなはだ露(あらわ)るるを知る。静を守りて後、動を好むの労に過ぐるを知る。黙を養いて後、言多きの躁(そう)たるを知る。』(前集三二)

 

(訳)低いところにいてはじめて、高いところの危険がわかる。暗いところにいてはじめて明るいところの露出度がわかる。静寂を保っていてはじめて、動き回ろうとすることが徒労に過ぎないことががわかる。寡黙さを身につけてはじめて多弁の喧騒(けんそう)さがわかる。

 

 その立場・環境に置かれているときは見えないことも、立場・環境を変えることで見えてくることがあります。

 リーダーたる者は、自分の立場に固執せずに、別の立場から物事を見て、時として自らの環境を変えてみることで、視野が広がり、冷静に客観的判断ができるようになるでしょう。

 そうすれば、高低・明暗・動静・言黙等々、物事の二面性のそれぞれの功罪、利点・欠点を理解することができリーダーとして適切な言動をとれるようにもなるでしょう。

 

2.欲望と道理

『欲路上のことは、その便を楽しみてしばらくも染指(せんし)をなすことなかれ。ひとたび染指せば、すなわち深く万仞(ばんじん)に入らん。理路上のことは、その難を憚(はばか)りてややも退歩をなすことなかれ。ひとたび退歩せば、すなわち遠く千山を隔てん。』(前集四0)

 

(訳)欲望上のことは、それが楽にかなえられても、手を染めてはならない。一度手を染めれば、深みにはまり込んでしまう。道理上のことは、それが困難なここであろうとも、後退してはならない。一度後退すれば、追いつくことができなくなる。

 

 一度私利私欲に走ってしまうと欲望はどんどんエスカレートし襟を正すのが不可能になってしまうでしょう。

 困難が伴っても、道理を重んじて、私利私欲に囚われず、志を後退させずに、社会のために行動できる者こそ、真のリーダーになれるのでしょう。

 

3.集中

『学ぶ者は、精神を収拾し、一路に併帰することを要す。もし徳を修めて意を事功名誉にむれば、必ず実詣(じっけい)なし。書を読みて興を吟詠(ぎんえい)風雅に寄すれば、定めて深心ならず。』(前集四四)

 

(訳)学ぶ者は一つのことに精神を集中させることが必要である。道徳を修めようとしても意識が功名・名誉に惹きつけられたのでは真実の修養には至らない。書物を読んでも遊び心に囚われては、書物から深い学びを得ることはできない。

 

 リーダーが道理を学ぼうとするときは、利益や名誉に心を奪われてはならず、道理そのものに精神を集中させなければ、真実に道理を理解することはできず、その道理を組織や社会に役立てることはできないでしょう。

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