〜「経営者の条件」より、"自己の時間を知る"〜
1.制約条件
成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。
時間を記録する、整理する、まとめるの三段階にわたるプロセスが、成果をあげるための時間管理の基本となる。
時間は簡単に消滅し、蓄積もできない。永久に過ぎ去り決して戻らない。また、時間は他のもので代替できない。
時間はあらゆることで必要となる真に普遍的な制約条件である。
2.時間の記録
知識労働においては時間の活用と浪費の違いは成果と業績に直接現れる。
知識労働者が成果をあげるための第一歩は、実際の時間の使い方を記録することである。
時間の記録方法については気にする必要はない。大切なのは記録することである。記憶によってあとで記録するのではなく、リアルタイムに記録することである。
3.時間の管理
時間の使い方は練習によって改善できる。だがたえず努力をしないかぎり、仕事に流される。したがって、次にくる一歩は体系的な時間の管理である。時間を浪費する非生産的な活動を見つけ、排除していくことである。そのための方法は三つある。
第一に、する必要のまったくない仕事、何の成果も生まない時間の浪費である仕事を見つけ、捨てることである。
第二に、他の人間でもやれることは何かを考えることである。
第三に、自らが取り除くことができる時間浪費の原因を排除することである。
4.組織の時間浪費
自らの時間の浪費以外に、マネジメントと組織構造の間違いに起因する時間の浪費がある。
第一に、システムの欠陥や先見性の欠如からくる時間の浪費がある。
第二に、人員過剰から来る時間の浪費がある。
第三に、組織構造の欠陥からくる時間の浪費がある。
第四に、情報に関わる機能障害からくる時間の浪費がある。
5.時間をまとめる
成果をあげるには、時間の記録と仕事の整理によってもたらされた自由に使える時間を大きくまとめる必要がある。
まず初めに本当に自由な時間がどれだけあるかを計算しなければならない。次に適当なまとまりの時間を確保しなければならない。そして常に、生産的でない仕事がこの確保済みの時間を蚕食(さんしょく)してはいないかと目を光らせなければならない。
時間の管理は継続的に行わなければならない。継続的に時間の記録をとり、定期的に仕事の整理をしなければならない。そして自由にできる時間の量を考え、重要な仕事については締切を設定しなければならない。
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