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【ビジネスリーダーのための菜根譚講座 その一】

1.才能を隠す
『君子の心事は、天青く日白く、人をして知らざらしむべからず。君子の才華は、玉つつみ珠(たま)かくし、人をして知りやすからしむべからず。』(前集三)
(訳)君子の心が、青天白日のように公明正大であれば、自ずと人に知れわたる。だからこそ、君子の才能は、玉のように包み隠して、人に知られないようにすべきである。
 立派なリーダーは、あえて自己主張をしなくても、その人望知れわたるものでしょう。だからこそ、安易に才能をひけらかすことは慎むべきでしょう。そうすれば、人から妬まれることもなく、謙虚な気持ちで、ますます才能を磨くことができるでしょう。
2.忠告を聞く
『耳中、常に耳に逆らうの言を聞き、心中、常に心にもとるの事ありて、わずかにこれ徳を進め行を修るの砥石なり。もし言々耳を悦ばし、事々心に快ければ、すなわちこの生をとりて鴆(ちん)毒の中に埋在せしむる。』(前集五)
(訳)常に耳が痛い言葉を聞き、常に思い通りにならない事があればこそ、人徳を磨く修行とすることができる。もし耳を喜ばせる言葉ばかり聞き、気分のよい事ばかり起これば、人生を毒の中に埋めてしまうようなものだ。
 厳しい忠告に真摯に耳を傾ける、思い通りにならない状況を受け入れ困難に立ち向かう、そういった姿勢を常にもつことが、リーダーとしての人格を磨くことになるのでしょう。
3.失敗は成功の元
『恩(おん)(り)に由来し害を生ず。ゆえに快意の時は、すべからく早く頭を回(めぐ)らすべし。敗後にあるいはかえって功をなす。ゆえに払心(ふつしん)のところは、すなわち手を放つことなかれ。』(前集一0)
(訳)恩恵を受けたことが仇となって、災難に見舞われることがある。だから、思いどおりになるときこそ、頭を切り換えなければならない。失敗した後に、成功することがある。だから、思いどおりにならないときも、諦めてはならない。
成功の後には、必ず落とし穴が待っています。逆に、失敗を糧にすれば、成功に近づくことができます。長く繁栄していくためには、リーダーたる者には、成功しても、有頂天にならず、謙虚な姿勢で、次の事に頭を切り換えること、失敗しても、けっして諦めずに、それを糧にして、創意工夫し、努力を積み重ねることが求められるのでしょう。
4.利益より善行
『寵利は人前に居るなかれ。徳業は人後に落つるなかれ。受享はこゆるなかれ。修為は分中に減ずるなかれ。』(前集一六)
(訳)利益は人より先に得ようとしてはいけない。善行は人より先に行うべきである。報酬は分相応を超えてもらってはいけない。すべき行為は分相応以上に行えるようにしなければいけない。
 目先の損得勘定で、軽率に行動してしまうと、信用を失い、かえって利益を逃すことになるでしょう。リーダーたる者、利益はまず先に人に与え、自分の報酬は分相応以下に留め、正しい行いを率先して行い、期待以上の責任を果たしていくことが、結果として周囲の尊敬と継続的な利益を得ることに結びつくのでしょう。
5.進むためには譲る
『世に処するに一歩を譲るを高しとなす。歩を退くるはすなわち歩を進むるの張本なり。人を待つに一分(いちぶ)を寛(ひろ)くするはこれ福(さいわい)なり。人を利するは実に己を利するの根基なり。』(前集一七)
(訳)世の中を生きていくには、人に一歩譲る心がけが大切である。一歩退くことは一歩進むことにつながるものである。人に対して寛大な気持ちで接すれば、よい結果が訪れる。人の利益を図ることが、結果として自分の利益につながるものである。
 リーダーが、自分の利益を優先し、人に不寛容であれば、周囲の人々は誰もついて来なくなり、事業の成功もおぼつかないでしょう。リーダーたる者は、まず、寛大な気持ちで相手に一歩譲り、周囲の信頼を勝ち得た後に、自己の利益に結びつけ、事業を前進させる技量が求められるのでしょう。
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