2.重要感を持たせる
「人を動かす秘訣は、この世に、ただひとつしかない。すなわち、みずから動きたくなる気持ちをおこさせること。これが、秘訣だ。」
「人を動かすには、相手のほしがっているものを与えるのが、唯一の方法である。」
「"自己の重要感"の欲求は、食物や睡眠の欲求同様になかなか根強く、しかも、めったに満たされることがないものなのだ。」
「人間の持つ性情のうちでもっとも強いものは、他人に認められることを渇望する気持ちである。」
「他人の長所を伸ばすには、ほめることと、励ますことが何よりの方法だ。上役から叱られることほど、向上心を害するものはない。わたしは決して人を非難しない。人を働かせるには奨励が必要だと信じている。」
「お世辞と感嘆のことばとは、どうちがうか?答えは、簡単である。後者は真実であり、前者は真実でない。後者は心から出るが、前者は口から出る。後者は没我的で、前者は利己的である。後者はだれからも喜ばれ、前者はだれからも嫌われる。」
「どんな人間でも、何かの点で、わたしよりもすぐれている――わたしの学ぶべきものを持っているという点で。」
「自分の長所、欲求を忘れて、他人の長所を考えようではないか。そうすれば、お世辞などはまったく無用になる。うそでない心からの賞讃を与えよう。心から賛成し、惜しみなく讃辞を与えよう。相手は、それを、心の奥深くしまいこんで、終生忘れないだろう。与えた本人が忘れても、受けた相手は、いつまでも忘れないでいつくしむだろう。」
経営者が、従業員を動かし、組織に貢献してもらうための最良の方法は、従業員が自ら進んで動きたくなる気持ちを起こさせることでしょう。
そのためには、従業員の欲しがるものを与える必要があります。それは、報酬と働きがいでしょう。報酬は、どこにでも就職さえすれば、一定水準のものは得られますが、働きがいは、容易に得られるものではありません。逆に言えば、働きがいを与えられる経営者こそが、従業員を組織のために動かすことができるのでしょう。
働きがいは、やりがいのある仕事と、仕事に対する評価により、与えられるのではないでしょうか。
そのためには、まず従業員を認めることから始める必要があるでしょう。従業員が組織にとって必要であり、重要な役割を担っていることを認め、その従業員が自己の重要感に満足できれば、自ら進んで動くようになるでしょう。
どんな従業員にも必ず長所があり、それを見つけて、適材適所の仕事を与え、成果に対して心から賞賛することによりその長所を伸ばし、仕事の貢献に結びつけることができれば、その従業員は働きがいを感じ、自己の重要感を満たされ、自発的に働くようになるのでしょう。