1.批判も非難もしない
「人間はたとえ自分がどんなにまちがっていても決して自分が悪いとは思いたがらないもの
だ。」
「他人のあら探しは、なんの役にも立たない。相手は、すぐさま防御体制をしいて、なんとか自分を正当化しようとするだろう。それに、自尊心を傷つけられた相手は、結局、反抗心をおこすことになり、まことに危険である。」
「われわれは他人からの賞讃を強く望んでいる。そして、それと同じ強さで他人からの非難を恐れる。批判が呼びおこす怒りは、従業員や家族・友人の意欲をそぐだけで、批判の対象とした状態は少しも改善されない。」
「人を非難するのは、ちょうど天に向かってつばをするようなもので、必ずわが身にかえって
くる。」
「他人を矯正するよりも、自分を直すほうがよほど得であり、危険も少ない。」
「およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。相手は感情の動物で
あり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておかねば
ならない。」
「人を批評したり、非難したり、小言をいったりすることは、どんなばか者でもできる。そして、ばか者にかぎって、それをしたがるものだ。理解と、寛容は、すぐれた品性と克己心をそなえた人にしてはじめて持ちうる徳である。」
「人を非難するかわりに、相手を理解するように努めようではないか。どういうわけで、相手がそんなことをしでかすに至ったか、よく考えてみようではないか。そのほうがよほど得策でもあり、
また、おもしろくもある。そうすれば、同情、寛容、好意も、おのずと生まれ出てくる。」
経営者は、従業員が経営者の論理で動くものと錯覚してしまいます。しかし、人は自尊心と虚栄心で行動する偏見に満ちた感情の動物であり、相手の論理を素直に受け入れられる心理的状況にないことがほとんどなのでしょう。
そうだとすれば、経営者が従業員を非難し、注意を与えて、経営者の思うように動かそうとして
も、従業員は反抗したり、やる気を失ったりして、逆効果になってしまうのでしょう。
それは経営にとってリスクであり、そのリスクを回避するために、経営者は自らの人徳を磨き、理解、同情、寛容、好意をもって従業員に接し、彼らを動かす必要があるのでしょう。