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【ビジネスリーダーのための論語講座 Part9】
「論語と算盤」より”処世と信条”

 日本の近代資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一は、第一国立銀行(現みずほ銀行)のほか、東京証券取引所、東京ガス、田園都市(現東急電鉄)、京阪電気鉄道、帝国ホテル、サッポロビール、東洋紡績、王子製紙、理化学研究所など、多くの企業・団体の設立、経営に尽力されました。
 渋沢栄一は、中国の古典「論語」を規範として、道徳の上に立った経済を標(ひよう)榜(ぼう)して、日本の資本主義の基礎を創りました。
 その渋沢栄一の著した「論語と算(そろ)(ばん)」より、珠玉の言葉を紹介いたします。
T.処世信条
1.論語算盤
をなす根源は何かといえば、仁義道徳です。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することはできません。
2.士魂商才
商才というものも、もともと道徳をもって根底としたものであって、道徳と離れた不道徳、欺(ぎ)瞞(まん)、浮(ふ)華(か)(外見だけで中身がないこと)、軽(けい)佻(ちよう)(軽はずみなこと)な商才は、いわゆる小利口であって、真の商才ではない。
3.適材適所
適材適所において、なんらかの成績を上げることは、その人が国家社会に貢献する本来のであります。
4.逆境
 誰でも自然的逆境にたった場合には、第一に自己本分であると覚悟するのが唯一のであると思われます。足るを知りてを守り、焦ったところで天命であるから仕方がないと諦めることができれば、どんな逆境においても平穏な心でいられるでしょう。
 一方、人為的逆境に陥った場合はどうすべきかというと、何でも自分に省(かえり)みて悪い点改めるより他はありません。自分からこうしたいと奮起さえすれば、大概はそののようになるものです。しかし、多くの人は自ら幸福な運命を招こうとせず、自分からいじけた人間になって、逆境を招いてしまうのでしょう。
5.得意失意
 人の(わざわい)は多くは得意時代に萌(きざ)すもので、得意の時は誰しも調子に乗るという傾向があるので、禍はこの欠陥に食い入るのです。だから、得意時代だからとを緩めず、失意の時だからと落胆せず、情操をもって道理を心がけることが大切であります。
 「名を成すは常に窮苦(きゆうく)の日にあり、事を敗(やぶ)るは多く得意の時に起因す」と故人も言っていますが、この言葉は真理であります。
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