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【孫子の兵法に学ぶ経営戦略 Part12】
〜火攻編・用間編より〜
『主は怒りをもって師をおこすべからず。将は憤(いきどお)りをもって戦うべからず。利に合わば動き、合わざれば止(や)む。怒りはまた喜ぶべく、憤りはまた悦ぶべきも、亡国はまた存すべからず、死者はまた生くべからず。ゆえに明主はこれを慎み、良将はこれを警(いまし)む。これ国を安じ、軍を全うする道なり。』
(訳)君主、将軍は、一時の怒りにまかせて戦争を始めてはいけない。国益に合えば軍を動かし、国益に合わなければ軍を動かしてはならない。怒りが喜びに変わることがあっても、滅んだ国は元には戻らず、死んだ者が生き返ることもない。だから、聡明な君主、優れた将軍は、軽率に戦争を始めない。これが国家を安泰にし、軍隊を保全する方法である。
経営者は、一時の感情事業展開を行ってはならない。慎重事業計画を立てた上で、自社利益に合致すれば、進めるべきである。
感情は時間が経てば収まるが、会社倒産すれば、取り返しのつかないことになる。社員犠牲にすることにもなる。
 だから、優れた経営者は、慎重計画に基づき、事業を進める。これが企業安全なものにし、社員守る方法である。
『およそ師をおこすこと十万、出征すこと千里なれば、百姓の費、公家の奉は日に千金を費やし、内外騒動し、道路に怠り、事を操(と)りえざる者は七十万家。相守ること数年にして、もって一日の勝を争う。しかるに爵(しやく)(ろく)百金を愛(おし)みて、敵情を知らざる者は、不仁の至りなり。人の将にはあらざるなり。主の佐にはあらざるなり。勝の主にはあらざるなり。ゆえに明君、賢将の動きて人に勝ち、成功、衆に出るゆえんのものは、先知なり。先知なる者は、鬼神に取るべからず。事に象(かたど)るべからず、度に験すべからず。必ず人に取りて敵情を知る者なり。』
(訳)十万人の軍隊を編成し、千里の彼方へ出兵させるとなれば、民衆と国家の負担は日に千金を費やし、内外の労役に駆り立てられ、その往来に疲弊し、本業を行えない者が70万軒にもおよぶ。こうして数年も対峙したあげく、たった一日で勝敗が決まってしまう。にもかかわらず、爵位(しやくい)や俸禄(ほうろく)や百金の財貨を出すのを惜しんで、敵情を知ろうとしない者は、不徳の至りである。民衆の上に立つ将軍とはいえず、君主の補佐役ともいえず、勝利を収めることもできない。だから、聡明な君主、優れた将軍が戦えば勝利し並外れた成功を収めるのは、先に敵情を把握するからである。先に敵情を把握するには、神に祈ったり、過去の事例をなぞったり、星の動きで占うのではない。必ず人間である間者(かんじや)によらなければならない。
 大きな事業投資をすれば、稼働維持するために膨大な人件費管理費等が必要になる。投資資金回収するのに何年もかかったあげくに、わずかな事でライバル企業との競争敗れてしまうこともある。
 にもかかわらず、事前入念マーケティングライバル企業情報収集を怠るのは、経営者として失格である。社員に立つリーダーたりえず、成功することはできない。
 優れた経営者が事業展開して成功できるのは、事前入念マーケティングライバル企業情報収集を行うからである。しかも、それらの情報は、机上の空論でなく、が足で稼ぐ現場の情報でなければならない。
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