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【孫子の兵法に学ぶ経営戦略 Part10】
〜地形編より〜
『地形には、通づるものあり、挂(さまた)ぐものあり、支(わか)るるものあり、隘(せま)きものあり、険しきものあり、遠きものあり。およそこの六つは地の道なり。将の至任にして察せざるべからずなり。』
(訳)地形には、道が開けているところもあれば、障害のあるところ、道が細かく分かれているところ、狭いところ、高く険しいところ、遠く隔てられたところがある。この六つは戦場における地形の基本であるが、その地形に応じた状況判断は、将軍の重要任務である。
市場には参入しやすいところ、障壁が多いところ、特性がわかりにくいところ、規模の小さなところ、過当競争のあるところ、距離の遠いところ等がある。その市場の状況を正確に把握し、事業展開の意思決定を行うことが経営者の重要な任務である。
『地形は兵の助けなり。敵を料りて勝ちを制し、険易遠近を計るは、上将の道なり。』
(訳)地形は、勝利を勝ち取るための補助的条件である。敵の動きを察知し勝算を立て、地形の険しさ遠近に応じて作戦を立てるのは、将軍の務めである。
マーケティングは成功するための補助的条件である。ライバル企業戦略動向を推し量り、市場の参入障壁、顧客ニーズの変化、需給動向、地域特性等に応じて営業戦略を立てるのが経営者の務めである。
『彼を知り己を知れば、勝ちすなわち危うからず。地を知り天を知れば、勝ちすなわち全うすべし。』
(訳)敵の状況、味方の状況を把握すれば、危うげなく勝利し、土地の状況、気象状況を把握すれば、勝利は万全である。
ライバル企業の状況、自社の状況、市場地域の状況、経済時流、事業のタイミング等を正しく把握すれば、確実に成功できる。
『卒(そつ)を視ること嬰児(えいじ)のごとし。ゆえにこれと深谿(しんけい)にも赴(おもむ)くべし。卒を視ること愛児のごとし。ゆえにこれとともに死すべし。厚くして使うことあたわず、愛して令することあたわず、乱れて治むることあたわざるは、たとえば驕子(きようし)のごとく、用うべからざるなり。』
(訳)兵士を赤ん坊ようにいたわれば、深い谷にでも共に行動することができる。兵士に我が子のように接すれば、生死さえ共にすることができる。手厚くするだけで働かすことができず、可愛がるだけで命令することができず、軍規を乱しても処罰することができなければ、驕り高ぶった子どものようになり、使いものにならなくなる。
社員を赤ん坊のようにいたわり、我が子のように接すれば、困難な状況になっても共に行動することができる。手厚くするだけで十分な仕事が与えられず、可愛がるだけで命令することができず、規律を乱してもすることができなければ、社員は権利ばかりを主張し、会社に貢献することができなくなる。

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