1.意思決定
(1) 問題の明確化
意思決定は、問題に対する見解からスタートしなければならない。
(2) 意見の対立
意思決定は、対立する見解が衝突し、異なる見解が対話し、いくつかの判断の中から選択が行われて初めて行うことができる。
ある案だけが正しく、その他の案はすべて間違っていると考えてはならない。
(3) 行動
行動によって得られるものが、コストやリスクよりも大きいときは行動する。
行動するかしないかいずれかにする。二股をかけたり妥協したりしてはならない。
(4) 意思決定の実行
具体的な実行の手順が仕事として割り当てられ、責任として割り当てられないことには、意思決定はないに等しい。
(5) フィードバック
意思決定の前提となった予測を現実に照らして検証していく上で必要なフィードバックの仕組みを考えなければならない。
意思決定はリスクを伴う仕事である。大事なのは問題への答えではなく、問題についての理解である。意思決定は、効果的な行動をもたらすために、ビジョン、エネルギー、資源を総動員することである。
2.コミュニケーション
(1) 四つの基本
すでにわれわれは、コミュニケーションについて四つの基本を知っている。すなわち、コミュニケーションとは、@知覚であり、A期待であり、B要求であり、C情報ではない。
@ 知覚
コミュニケーションは受け手の言葉を使わなければ成立しない。
A 期待
われわれは期待しているものだけを知覚する。期待していないものは反発を受け、その反発がコミュニケーションの障害になる。期待していないものは無視されたり、間違って聞かれる。期待するものを知覚できないことに対しても抵抗する。
B 要求
コミュニケーションは受け手に何かを要求する。受け手が何かになること、何かをすること、何かを信じることを要求する。
C 情報
コミュニケーションと情報は別物である。ただし依存関係にある。情報は、感情、価値、期待、 知覚といった人間的な属性を除去するほど、有効となり信頼度も高まる。
(2) コミュニケーションの前提
目標管理こそコミュニケーションの前提である。目標管理の最大の目的は、上司と部下の知覚のしかたの違いを明らかにすることにあり、その違いをお互いに知ること自体がコミュニケーションである。
コミュニケーションが成立するためには経験の共有が不可欠である。
3.管理
(1) 管理手段
@ 管理手段の特性
管理手段は対象にも管理者にも変化を与える。
管理手段は成果に焦点を合わせなければならない。
管理手段は測定不能な事象に対しても適用しなければならない。
A 管理手段の要件
管理手段は効率的でなければならない。
管理手段は意味あるものでなければならない。
管理手段、その精度、その時間間隔が対象に適していなければならない。
管理手段は単純でなければならない。
管理手段は行動に焦点を合わせなければならない。
(2) 真の管理
いかなる組織であっても、メンバーの欲求やニーズを満たさなければならない。この個人の欲求を満たすものこそ、賞や罰であり、各種の奨励策、抑止策である。給料のように定量的なものもある。しかし、個人の欲求に応えるための環境そのものは定量的ではないし、定量化は不可能である。ここにこそ、組織の本当の管理、すなわち個人の姿勢と行動の誘因となるべきものがある。