1.マネージャーの役割
マネージャーには二つの役割がある。
第一の役割は、投入した資源の総和よりも大きなものを生み出す生産体を創造することである。マネージャーはマネジメントの一員として、事業のマネジメント、人と仕事のマネジメント、社会的責任の遂行という三つの役割も果たさなければならない。
第二の役割は、あらゆる決定と行動において、ただちに必要とされているものと遠い将来に必要とされるものを調和させていくことである。
2.マネージャーの仕事
あらゆるマネージャーに共通の仕事は五つである。
@ 目標を設定する。
A組織する。
B動機づけとコミュニケーションを図る。
C評価測定する。
D人材を開発する。
3.目標管理
マネージャーたるものは、明確な目標を必要とする。目標は自ら率いる部門があげるべき成果を明らかにしなければならない。
目標には、はじめからチームとしての成果を組み込んでおかなければならない。それらの目標は、常に組織全体の目標から引き出されたものでなければならない。
目標は、短期的視点とともに長期的視点から規定しなければならない。有形の経済的な目標のみならず、無形の目標、すなわちマネージャーの組織化と育成、部下の仕事ぶりと態度、社会に対する責任についての目標を含まなければならない。
適切なマネジメントを行うには、特にトップマネジメントが目標間のバランスを図らなければならない。
4.自己管理
目標管理の最大の利点は、自らの仕事ぶりをマネジメントできるようになることにある。自己管理は強い動機づけをもたらす。最善を尽くす願望を起こさせる。
自らの仕事ぶりを管理するには、自らの目標を知っているだけでは十分ではない。目標に照らして、仕事ぶりと成果を評価できなければならない。
5.組織の精神
組織の目的は、凡人をして非凡なことを行わせることにある。凡人から強みを引出し、他の者の助けとすることができるか否かが、組織の良否を決定する。
@ 組織の焦点は、成果に合わせなければならない。
A 組織の焦点は、問題でなく機会に合わせなければならない。
B 配置、昇給、昇進、降級、解雇など人事に関わる意志決定は、組織の信条と価値観に沿って行わなければならない。
C これらの人事に関わる決定は、真摯さこそ唯一の絶対条件であり、すでに身につけていなければならない資質であることを明らかにしなければならない。