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【孫子の兵法に学ぶ経営戦略 パート7】〜軍争編より〜
〜軍争編より〜
 
『軍争の難きは、迂(う)をもって直(ちよく)となし、患(かん)をもって利となすにあり。故にその道を迂にして、これを誘うに利をもってし、人に後れて発し、人に先んじて至る。これ迂直(うちよく)の計を知る者なり。』
(訳)陣取り争いの難しさは、回り道を近道に変え、不利を有利に変えるところにある。回り道をしながら、利益で誘って敵の足を止め、敵より遅れて出発しながら先に到達する。これが迂直の計である。
 
 マーケットにおける後発不利を克服するためには、急がば回れの発想で、相手を油断させて、その間に自社に有利な展開に仕向ける戦略が必要になる。
 
『諸侯の謀を知らざる者は、予め交わること能(あた)わず。山林、険阻(けんそ)、沼沢の形を知らざる者は、軍を行(や)ること能わず。郷導(きようどう)を用いざる者は、地の利を知ること能わず。』
(訳)諸侯の戦略を知らなければ、外交を成功させることはできない。山林、険しい道、沼沢などの地形を知らなければ、進軍することはできない。地理に詳しい案内役を用いなければ、地の利を得ることはできない。
 
 相手企業の戦略を読めなければ、協力関係は築けない。そのマーケットの状況を熟知しなければ、事業展開をすることはできない。そのマーケットに精通している案内役がいなければ、マーケットを活かした有利戦略を立てることはできない。
 
『その疾(はや)きこと風のごとく、その徐(しず)かなること林のごとく、侵掠(しんりやく)すること火のごとく、動かざること山のごとし。』
(訳)疾風のようにすばやく行動するかと思えば、林のように静まりかえる。燃えさかる火のように襲撃するかと思えば、山のように微動だにしない。
 
 事業展開するには、その状況に応じて、のようにすばやく行動したり、のように冷静に静観したり、のように積極果敢に攻めたり、のように動じることなく泰然と構えたり、臨機応変に行動することが必要である。
 
『言えども相聞こえず、故に金鼓(きんこ)をつくる。視(しめ)せども相見えず、故に旌籏(せいき)をつくる。金鼓、旌籏は、人の耳目を一にする所以なり。人すでに専一なれば、勇者も独り進むことを得ず、怯者も独り退くことを得ず。』
(訳)口で号令しても聞こえないので、鐘や太鼓を作る。手で示すだけでは見えないので、幟(のぼり)や籏(はた)を作る。鐘や太鼓、幟や籏は、人の耳目一つにするためのものである。これで人を統率すれば、勇猛な者も単独行動することはなく、憶病な者も勝手に逃げ出すことはない。
 
 組織が大きくなると、トップからの伝令も、口頭や身振り手振りだけでは、十分に浸透させることはできない。様々な媒体を使って、伝令をすばやく隅々にまで伝え、組織を統率して、同じ目標に向かって行動させるようにしなければならない。
 
『善く兵を用うる者は、その鋭気を避けて、その惰帰(だき)を撃つ。』
(訳)戦上手な者は、敵の士気が旺盛なうちは戦いを避け、士気の衰えた時を見計らって攻撃する。
 
 事業展開するには、ライバル企業の士気が高く勢いがある時は避けて、その士気、勢いが衰えたタイミングを見計らって事業展開することで、自社の勢いをつけることができる。
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