1.基本と原則
転換期にあって重要なことは、変わらざるもの、すなわち基本と原則を確認することである。
基本と原則は、組織の置かれた状況に応じて適用していかなければならない。
基本と原則に反するものは、例外なく時を経ず破綻する。
2.マネジメントの役割
企業をはじめとするあらゆる組織が社会の機関である。
組織が存在するのは組織自体のためではない。自らの機能を果たすことによって、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たすためである。
組織の中核の機関がマネジメントである。
マネジメントには三つの役割がある
@ 自らの組織に特有の使命を果たす。
A 仕事を通じて働く人を生かす。
B 社会の問題について貢献する。
3.企業とは何か
(1) 企業の目的
企業とは何かを決めるのは顧客である。
企業の目的は、顧客の創造である。
企業は二つの基本的な機能を持つ。マーケティングとイノベーション(革新)である。マーケティングとイノベーションだけが成果をもたらす。
(2) マーケティング
マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。
マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。
(3) イノベーション
イノベーションの結果もたらされるものは、よりよい製品、より多くの便利さ、より大きな欲求の満足である。
イノベーションとは、人的資源や物的資源に対し、より大きな富を生み出す新しい能力をもたらすことである。
(4) 生産性に影響を与える要因
目に見えるコストの形はとらなくとも、生産性に重大な影響を与える要因がいくつかある。
@ 知識
A 時間
B 製品の組み合わせ
C プロセスの組み合わせ
D 自らの強み
E 組織構造の適切さ、および活動間のバランス
これらはすべて、労働、資本、原材料など、会計学や経済学のいう生産要素に追加すべきである。いずれも重要である。
(5) 利益の持つ機能とは何か
利益は成果の判断基準である。
利益は不確実性というリスクに対する保険である。
利益はよりよい労働環境を生むための原資である。
利益は社会的なサービスと満足をもたらす原資である。
利潤動機や利潤極大化などナンセンスを言ってるかぎり、利益を正当化することはできない。
社会および経済にとって必要不可欠なものとしての利益については、弁解など無用である。
企業人が弁解の必要を感じるべきは、経済活動や社会活動の遂行が困難になることである。利益を生むことができなくなることである。 |