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【読書の秋】

 「読書の秋」とよくいわれますが、たしかに暑さも和らぎ、静かで過ごしやすい秋の夜長は、読書に集中しやすい季節です。

 読書は、単に情報収集や文章を楽しむことはもとより、古今東西の様々な著者の思想や想像力に触れることで、多様な価値観を学び、他者への共感力や思考力、豊かな感性を養うことができます。読書を通じて、自己の内面を見つめ直し、精神的な成長を促すための内なる対話でもあるのです。

 しかし、近年、日本における読書人口の減少が懸念されています。文化庁の調査(2024年度)でも、1ヶ月に1冊も本を読まない人の割合が62.6%、読書量が減った人の割合が69.1%と読書離れが顕著になっていると指摘されています。その主な原因は、スマホやSNSの急速な普及です。スマホで気になる情報や刺激をネット上で手軽に短時間で得られる現代において、本をわざわざ買い求めて時間と労力をかけて読書することが敬遠されがちになっているようです。

 読書離れが進むと、様々な表現の文章を読み解く力や、深く物事を考察する思考力の低下が心配されます。また、発信者に都合よく切り取られた情報ばかりに触れていると物事を表層的にしか捉えることができなくなり、思考にバイアスがかかりやすくなります。このようなことが現実に相互理解のためのコミュニケーションを阻害しているような気がしてなりません。

 社会の分断が進み、民主主義の危機が叫ばれる現代において、民主社会の基盤となる成熟した思想が少しでも回復できるよう、読書の価値が再発見されることを願ってやみません。

2026.10.01

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