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近年、社会がますます空気に支配されやすくなっているような気がします。これまで日本社会では、封建的な社会風土が社会の空気を作る重要な要因であると考えられてきましたが、昨今は、SNSが社会の空気を大きく左右する強力な装置と化しているようにも見えます。しかも、インターネットを介してその空気が、瞬時に世界中に伝播する時代になりました。
SNSはアルゴリズムの特性から、次のようなリスクが懸念されています。@自分の好みの情報ばかりが表示される(フィルターバブル)。A似た意見の人々がフォローし合うことで同じような意見ばかりが反響する(エコーチェンバー)。B同調圧力が働きやすい。C誤情報が拡散されやすい。
このような特性から、自分たちが信じたいことなら、根拠の乏しいことでも絶対に正しいと確信する(確証バイアス)ようになり、反対意見を主張する者を敵とみなし、匿名を隠れ蓑にして攻撃がエスカレートしていきます。それが、社会の分断を煽っているとすれば、看過できない問題ではないでしょうか。
山本七平著『「空気」の研究』の中に「「空気」とはまことに大きな絶対権を持った妖怪である」「こうなると、統計も資料も分析も、またそれに類する科学的手段や論理的論証も、一切は無駄であって、そういうものをいかに精緻に組みたてておいても、いざというときは、それらが一切消しとんで、すべてが「空気」に決定されることになるかも知れぬ」とあります。
現代のネット社会においては、山本七平が指摘した「法理論や科学的根拠を無視した絶対的な強制力を持った妖怪のような空気」がSNSによって創り出され、世界中で社会に暗い影を落としているように思えます。
分断を乗り越え、心豊かな平和な社会を回復するために、SNSの活用方法はもちろん、その在り方そのものを問い直す必要があるのではないでしょうか。
2026.03.01
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