去る6月22日に、アメリカ軍がイランの3つの核施設に攻撃を行いました。アメリカがイラン領内を攻撃するのは初めてのことです。
発端は、6月13日のイスラエルによるイランの核施設や弾道ミサイル工場、軍司令官を標的とした大規模な先制攻撃でした。それを後押しする形で、より破壊力の強い爆弾(バンカーバスター)で地中深くの核施設を攻撃しました。
差し迫った脅威もない中で、他国の領土に先制攻撃を仕掛けることは、国際法違反であります。これまで世界をリードしてきた唯一の超大国アメリカに対して、日本を含め他の先進国の首脳が、顔色をうかがうばかりで、異議を唱えられないのは、現在の国際情勢の危うさを象徴するかのようです。
ロシアのウクライナ侵攻もそうですが、国連で拒否権を持つ軍事大国が、国際法をないがしろにして、国際関係のパラダイムを「法の支配」から「力による支配」へ大きく転換するような行動を続けていけば、国際秩序が瓦解し、世界はますます混迷を極めるのでしょう。
武力により他者を屈服させる行為が、その後永く禍根を残すことは、歴史が教えるところでしょう。暴力は、知恵による解決を放棄した者がとる手段ではないのでしょうか。国際社会が法による秩序を回復し、互いに知恵を絞って外交努力で平和が築かれる世界になることを願ってやみません。
2025.07.01
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