トランプ米国大統領の高関税政策が世界経済を震撼させています。米中貿易戦争の更なる激化が予想され、カナダやEUも報復の構えを見せています。また、世界の金融市場は、トランプ大統領の日ごとに変わる言動に振り回され、乱高下を繰り返しています。
トランプ関税の中でも、4月3日に発動された自動車追加関税と5月3日に発動される自動車部品追加関税は、25%もの関税が上乗せされ、日本の自動車産業にとっては深刻な影響を及ぼすでしょう。日本の自動車産業は裾野が広く、製造品出荷額は全製造業の約2割を占めており、また、全就業人口の約1割が自動車産業に携わっており、日本経済にとっても大きな打撃となりそうです。
関税は、輸入物品に課される税金で、安価な外国製品の輸入を抑制して国内産業を守る目的で高税率の関税が課されることがあります。トランプ関税を契機に、各国が関税率を引き上げていけば、世界的な貿易戦争につながり、経済のブロック化が進む危険もあります。1929年にアメリカ発の世界恐慌が起こり、各国が自国産業を守るため保守主義に傾斜し経済摩擦を激化させたことが第二次世界大戦の一因となったことを想起させられますが、同じ轍を踏まないためにも、世界各国に厳しい外交努力が求められていくのでしょう。
戦後これまで、米国は、自由経済の盟主として世界経済を牽引してきましたが、トランプ大統領は、米国第一を掲げ、高関税などの政策により保護主義に大きく舵を切りました。かたや日本は戦後、安全保障の面でも経済の面でも米国に大きく依存した上で自由経済の多大な恩恵を受け、世界第2位の経済大国にまで押し上げられましたが、現在は中国、ドイツに抜かれ、第4位に後退しました。
激動する時代の転換期において、日本が逆境の中、世界に尊敬される自立したリーダーとして経済再生していくために、国民一人一人が、善き経済人として、世界との関わり方を見つめ直す必要があるのではないでしょうか。
2025.05.01
|