ドラッカーの言葉に「ソクラテスは、大工と話すときは大工の言葉を使えと説いた。コミュニケーションは、受け手の言葉を使わなければ成立しない。受け手の経験にもとづいた言葉を使わなければならない」とあります。
世の多くの経営者が、自分の要求を通すため、自分の知識、自分の経験、自分の価値観、自分の感覚、自分の感情に基づいて、コミュニケーションをとろうとしているように思えます。そのことが、相互理解を困難にし、会社運営に支障をきたしていることに、なかなか気づかないようです。
逆に、経営者が相互利益のために、相手の知識、相手の経験、相手の価値観、相手の感覚、相手の感情を推し量りコミュニケーションをとろうとしている会社では、信頼関係、主体性、自尊心、連帯感が生まれ、会社運営が円滑なものとなり易くなっていくような気がします。
このことは、会社の中の人間関係に限らず、国同士の間でも、家庭内の人間関係でも、その他あらゆる関係性において言えることではないでしょうか。世の中に起こる不和、分断、争いの最大の原因の一つが、コミュニケーションの不足、つまり自己本位の一方通行の言動にあるのではないでしょうか。
世界的に分断が加速するこの時代において、改めてドラッカーの言葉をかみしめ、自省の念を込めて、日々のコミュニケーションのあり方を見直したいと思う今日この頃です。
2024.11.01
|