本格的な夏が到来し、賑やかなセミの声が暑さを増幅するようにも感じられますが、米国では「素数ゼミ」が大発生したようです。しかも、221年ぶりに13年ゼミと17年ゼミの周期が重なり、2つの集団が同時に地上へ顔を出し、その数は1兆匹との推測もあります。13と17はいずれも素数(1とその数自身でしか割りきれない数)であるため、素数ゼミと呼ばれているそうです。
一般に、セミの寿命は、地中で2〜7年、地上で1週間〜1ヶ月といわれています。人間には、セミは短命と思われているようですが、実は昆虫の中でも長寿の生き物のようです。
セミが一生のほとんどを地中で過ごすのは、鳥などの天敵から逃れるためといわれています。天敵の少ない地中で繁殖時期を待ち、一斉に地上へ出れば、その分、天敵から食べられる確率が減り、多くの仲間と出会えることで、繁殖機会を増やす生存戦略をとっているといわれています。
一生のほとんどを子供時代として過ごし、老いることなく絶頂期に、次世代にバトンを渡して、ピンピンコロリで天寿を全うできるのは、ある意味、理想的なのかもしれません。
社会的な生き物として、老いることを生存戦略とした人類は、繁殖以外にも次世代へバトンを渡すための多くの役割を担って、経験から得た知恵を使って社会を発展させなければならないのではないしょうか。高齢化社会において、より多くの高齢者が、その役割を自覚して、次世代のためにも、自らの人生を豊かにするためにも、生き生きと天寿を全うできるようになることを願ってやみません。
2024.08.01
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