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【ギャンブラーの誤謬】

 

 米大リーグの大谷翔平選手の通訳を務めてきた水原一平氏の銀行詐欺事件が世間を賑わせています。違法なスポーツ賭博で出た損失の穴埋めのため、大谷選手になりすまして24億円超のお金を不正送金額した疑いがもたれています。

 水原氏は自身がギャンブル依存症であることを告白していますが、米国には症状が深刻なギャンブル依存症患者は推計で約200万人いるとされており、軽度も含めると、その数は約900万人に上るようです。日本でも厚生労働省の調査によれば、成人の2.2%にギャンブル依存症の疑いがあると推計されています。古今東西においてギャンブルは人を狂わせてきたようです。

 ギャンブラーの誤謬という言葉があります。例えば、コイントスでコインの裏表を賭けるときに、表が何回も連続して出ると、次は裏の出る確率が高くなると錯覚してしまうといったことです。表が何回出た後でも裏の出る確率は絶えず二分の一でそれより高くなることはありません。にもかかわらず、負けが込んでいると、冷静さを失い、次こそは自分の都合のよいことが起こると勝手に思い込んでしまうのでしょう。

 ギャンブルが、楽して儲けようとする人間の欲望を煽り、冷静な判断力を奪い、いつか勝てるという妄想を抱かせ、損を取り返そうとする執着心を生み、最後は人間を破滅へと追いやる危険性があることは論をまたないでしょう。

 社会からギャンブルがなくなることはなさそうですが、より多くの人がギャンブルの弊害を深く理解し、やるにしても、自分も傷つけず、他人にも迷惑をかけず、明確な自己責任の範囲でやるべきなのでしょう。

 

2024.05.01

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