サミュエル・スマイルズの著書『自助論』の中の言葉に「政治とは、国民の考え方や行動の反映にすぎない。どんなに高い理想を掲げても国民がそれについていけなければ、政治は国民のレベルにまで引き下げられる。逆に、国民が優秀であれば、いくらひどい政治でもいつしか国民のレベルにまで引き上げられる。つまり、国民全体の質がその国の政治の質を決定するのだ。」とあります。
民主主義国家においては、国民のために政治を行う国民の代表を選挙により国民が国民の中から選ぶ選挙制度が、政治の基本になっています。しかし、選挙に行って投票さえすれば、後は政治家の責任というわけにはいかないでしょう。
国民一人一人の考え方、行動、生活、仕事、その他様々な活動の総体が、政治に多大な影響を与えることは、新型コロナ騒動において、世界の人々が目撃したところではないでしょうか。
特にリーダーたる者は、そのことを強く自覚すべきでしょう。例えば、企業経営者についていえば、社会に有益な製品・商品・サービスを提供し雇用を生み出し社員を社会人として教育し環境保全に努める等々の事業活動を通じて、国民文化の向上に資する役割を果たすことが、政治に対する良き影響力となり、健全な民間経済に応えるべく健全な政策も生まれ、政治のレベルを引き上げることにつながるのでしょう。
政治の問題は政治家だけの問題でなく、国民一人一人の社会への関わり方の問題であり、一人一人のリーダーシップの問題でもあり、一人一人の人格の向上の問題でもあることを、我々は肝に銘じる必要があるのではないでしょうか。
2021.11.01
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