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【今なぜ渋沢栄一か】

 「日本資本主義の父」と呼ばれている明治の偉人、渋沢栄一が、今、脚光を浴びています。2024年から発行される新紙幣1万円札の肖像にも選ばれ、大河ドラマの主人公となり、書店では、関連する新刊書籍が多く並べられ、言論界でも、再評価の声が多く上がっています。

 渋沢は、銀行、鉄道、電力、ガス、製紙、紡績、ホテル、損害保険、証券取引所、商工会、研究機関、大学、医療、福祉、慈善事業など多岐にわたる企業、公益法人、団体等の設立、運営に携わり、近代日本経済基礎を築きました。

 著書の『論語と算盤』の中の言葉に、「かりに一個人だけが大富豪になっても、社会の多数がそのために貧困に陥るような事業であったなら、いかがなものか。その人がいかに富を積んでも、その幸福は持続しないのではないか。」とあります。

 超巨大企業が事業を独占し、巧みに課税を逃れて、上位1%の富裕層が世界の富の半分を保有しているとも言われていますが、格差が拡大していく社会において、財閥系企業最盛期に「道徳経済合一論」「合本主義」を唱え、広く出資や優秀な人材を募ってオープンな経営で公益を追求した渋沢的理念が、今の世に希求されているのも頷ける気がします。

 企業社会的責任が益々強く求められる現代において、企業を永続発展させるために、経営者は、渋沢が唱えた道徳経済両立を、自ら問い質す必要があるのではないでしょうか。

2021.09.01

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