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【罰則と協力金】

 感染症拡大防止対策として時短命令に応じない事業者に罰則を設けるべきか、国会の激しい論戦の末、緊急事態宣言下の違反者に30万円以下の過料が科されること等が立法化される見込みです。その一方で、時短要請に協力する飲食店には一律1日6万円の協力金が支給される予定です。

 罰則の根底には、性悪説の哲学が少なからずあるのでしょう。放っておけば悪い行動に走る人間に、正しい行動を促し、社会秩序を守るために罰則を設ける訳です。

 韓非子の言葉に「賢明な君主はいい加減に賞を与えるようなことがなく、罰を許すようなこともない」とあります。賞罰は、行為に対し適切かつ公平に行われるからこそ有効なものとなるのでしょう。

 従業員0人の飲食店でも従業員100人の飲食店でも1日6万円、1時間の時短でも5時間の時短でも1日6万円の協力金が、はたして公正な賞となるのでしょうか。賞が公正でなければ、が有効に機能しなくなる恐れも生じます。

 罰則の少ない自由な社会の中で人々が主体的に正しい行動がとれるのが理想的なのでしょうが、現在のような緊急事態下で国民に大きな行動変容を促す必要がある時は、適切に新たな賞罰規定を設けることもやむを得ないのでしょう。

 賞罰が不公正に行われて国民生活に混乱を招かなことを願うばかりです。

2021.02.01

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