Business Forum Kobe 21
トップページ >月刊コラム >【生老病死】

【生老病死】

 新型コロナウィルスの感染拡大が、世界を恐怖のどん底に陥れました。特に基礎疾患を持っている人や高齢者の重症化リスク、死亡リスクが高く、大きな脅威となっています。人類がウィルスによって、という人生の根源的な課題を見つめ直す機会を与えられたような気がします。

 ブッダは、人生において「生老病死」は避けられないものであり、かつ自分の思い通りにならないものであると説きました。そして、それを克服するために、まず現実をあるがままに受け入れること、その上で、不安や我欲で心を曇らせることなく、今できる正しい努力に意識を集中させることを説いています。

 いつの時代にどこの国でどのような境遇で生まれるか自分で決められる人などいません。生まれたとたん死に向かって老いていくことを阻止できる人などいません。いつどこで原体に感染するか、どんな原因で腫瘍に侵されるか、どんな社会環境の中で精神的に押しつぶされるか、予測できる人などいません。そして、いつどこでどんな原因でどんな状態で死ぬのか、予測できる人などいません。生老病死すべて、思い通りにならないのです。

 新型コロナウィルスの感染拡大も、人類の思い通りにならずに、世界中が大混乱に陥りました。その思い通りにならない現実をあるがままに受け入れた上で、自分を守るため、家族を守るため、社会を守るために、恐怖を乗り越え、一人一人がそれぞれの立場でできること、感染しないさせないための行動変容、適切な検査、適切な治療、ワクチンや治療薬の開発、衛生環境の改善、治安の維持、世界的な協力体制の構築、等々、今できることを積み重ねていくことが、人類がこの危機克服して、よりよい社会創造することにつながるのではないでしょうか。

2020.07.01

月刊コラムのトップページへ
トップページへ
Copyright (c) 2006 Business Forum Kobe21 All Rights Reserved.