先日、ローマカトリック教会のフランシスコ教皇が来日し、長崎や広島などを訪れました。ローマ教皇の来日は38年ぶりとなりました。
教皇は長崎の演説の中で、「わたしたちの世界は、手に負えない分裂の中にあります。それは、恐怖と相互不信を土台とした偽りの確かさの上に平和と安全を築き、確かなものにしようという解決策です。人と人の関係をむしばみ、相互の対話を阻んでしまうものです。」「国際的な平和と安定は、現在と未来のすべての人類家族が共有する相互尊重と奉仕への協力と連帯という、世界的な倫理によってのみ実現可能となります。」と語りました。
広島の演説の中では「現代世界は、グローバル化で結ばれているだけでなく、共通の大地によっても、いつも相互に結ばれています。共通の未来を確実に安全なものとするために、責任をもって闘う偉大な人となるよう、それぞれのグループや集団が排他的利益を後回しにすることが、かつてないほど求められています。」と語りました。
ローマ教皇は、相互不信から排外主義が蔓延しポピュリズム政治が各国で台頭する現在の世界情勢を深く洞察し、社会を分断し軍備拡張競争を続ければ世界は破滅へ向かうと、強く警鐘を鳴らしているのでしょう。そして、全て人々の尊厳が回復され、相互尊重、相互信頼、相互発展が可能となる世界平和の実現を痛切に祈られているのでしょう。
年の瀬にあたり、今年も一年、平和で豊かなこの国で無事に過ごせたことに深く感謝しつつ、ローマ教皇が長崎・広島から世界へ発信したメッセージを胸に抱き、平和を祈ることの大切さを痛感する今日この頃です。
2019.12.01
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