統計不正問題が世間を賑わせています。厚生労働省の公表している毎月勤労統計の不正調査の影響により、雇用保険などの過少給付が564億円にも上ると言われています。
統計不正は、このように直接国民生活に実害を与えるだけでなく、国家が政策判断を誤ったり企業経営者が経営判断を誤ったりといったことにより、社会全体により大きな悪影響を与えるリスクもあります。
2009年に発覚したギリシャの財政赤字に関する経済統計の虚偽報告が、欧州債務危機を引き起こすきっかけとなったことは、一つの統計不正が国家の信用を失墜させた事件として記憶に新しいところです。
また、情報が閉鎖的であれば、不正は起こりやすくなり、不正が隠蔽されればされるほど、その弊害も大きくなるでしょう。
近年は、ビッグデータの蓄積とAI技術の進化も急速に進んでいますので、新しい技術を用いて客観的で信頼性の高いオープンな統計データを官民で共有し、国家や国民の政策決定、経済運営、経営判断が可能となる仕組みを構築することが重要な社会課題になるのではないでしょうか。
企業経営においても、時代のトレンドを読み、激変の中を生き残っていくためには、玉石混交の統計データを意思決定のための有益な情報に換えていくための情報分析能力が求められていくのではないでしょうか。
2019.03.01
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