ESG投資が世界的に注目を集めています。ESG投資とは、環境(environment)、社会(social)、企業統治(governance)に配慮している企業を重視・選別して行う投資のことです。
従来の投資が売上高や利益など過去の実績を表す財務指標を重視したのに対し、ESG投資は環境、社会、企業統治を重視することが企業の持続的成長や中長期的収益につながり、財務指標からは見えにくいリスクを排除できるとの発想に基づいており、機関投資家を中心に企業の投資価値を測る新しい評価基準として大きな関心を集めています。
その影響が日本の産業界でも現れています。大手商社の丸紅は石炭火力発電所の新規開発から撤退し、既存の石炭火力発電所の権益も2030年までに半減させ、再生可能エネルギー発電事業を拡大し低炭素時代の実現に貢献していく、と発表しました。また、海洋プラスチックゴミ問題の深刻化を受けて、すかいらーくなどの外食産業では、プラスチック製ストローを廃止する動きが相次ぎ、三菱ケミカルは水中で分解できる新素材を開発したり、環境問題を強く意識した企業の取り組みが加速しつつあります。
ESG投資の影響力が大きくなれば、社会的責任を果たしていく企業は、社会から高い評価を得て資金調達もしやすくなる反面、社会的責任を果たせない企業は、市場から退場を迫られるようになるのでしょう。
利益至上主義のひずみから生まれた環境問題、人権問題などの社会問題を克服し、人類が持続可能な経済発展を続けていくために、ESG投資は今後ますます重要性を増して、大きな経済のトレンドになる可能性を秘めているのではないでしょうか。
そして中小企業といえども、社会の問題解決に責任を果たしていく姿勢なくして企業を継続させることが不可能となる時代が到来するのかもしれません。
2018.11.01
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