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【タンス預金43兆円】

 第一生命経済研究所によると、タンス預金が平成29年2月末時点で43兆円となり、3年間で3割強も増加したそうです。

 日銀は、マイナス金利政策による預金金利の低下が一因と分析しているようですが、それ以上に、日本の財政への不安から、富裕層が将来の増税や個人財産の監視強化などから自己防衛しようとしていることが大きな要因となっているともいわれています。

 近年は、法人税減税がなされる一方で、相続税所得税の個人課税が増税される傾向にあります。また、マイナンバー制度の開始等、個人の所得や財産の監視を強化する動きも大きくなってきています。そういったことを背景にして、富裕層を中心とした個人がタンス預金を増やしているのではないでしょうか。

 タンス預金が増加すると、金融機関を経由しない経済取引が増加し、課税の洗礼を受けない地下経済の規模が増大する恐れが出てきます。そうなれば、財政がさらに悪化し、モラルが低下し、治安も悪化し、社会不安が増幅することも想像に難くありません。

 世界的に先行き不透明感が高まる中、国民が将来不安を払拭できるよう、の進むべき方向性が明確に示されなければ、タンス預金増加を止めることはできないのではないでしょうか。

2017.06.01

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