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【宅配便危機】

 宅配便事業が危機に陥っています。インターネット通販荷物が急増し、それに伴う再配達が頻発する一方で、人手不足が解消されず、長時間のサービス残業が常態化し、社会問題になっています。最大手のヤマト運輸は、荷受総量を抑制するために、大口顧客と値上げ交渉に入りました。また、未払残業代の支給、時間指定の一部廃止、再配達の受付時間の縮小、宅配ロッカーの整備等の方針を発表しました。

 荷物が増加しているにもかかわらず大手通販事業者と消費者の利益が優先されるため、配送単価下落し、そのしわ寄せが現場のドライバー過酷労働環境を強いてきました。

 競争による価格低下生産性向上技術進歩を通じて成されるのなら、社会全体の相互利益につながるのでしょう。しかし、現在は、宅配事業のみならず、様々な業界において、立場の弱い者しわ寄せすることで実現している低価格が蔓延しているような気がします。そうした低価格は、短期的に消費者に利益があったとしても、長期的には維持することが困難となり、結局は、消費者にも事業者にも損失となるのではないでしょうか。

 モノ・サービスの価値価格適正にバランスし、社会全体で公平に利益が享受できる経済社会を実現するために、官民で知恵を出し合って、新たな経済運営のあり方を模索する必要があるのではないでしょうか。

2017.04.01

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