先の米国大統領選挙で、多くのメディアや専門家の予想を覆して、ドナルド・トランプ氏がヒラリー・クリントン氏に勝利しました。激しい誹謗中傷合戦が行われ史上最低の大統領選挙と揶揄されましたが、最後に米国民が選んだのは、排外的・非人道的・差別的な暴言を繰り返したトランプ氏でした。
トランプ氏は「偉大なアメリカの復活」をスローガンにしています。しかし米国が偉大であったの、民族・宗教・文化・価値観等の多様性を認め敵対していたものとも協調していく寛容性ゆえに、世界のリーダーとして多くの国からの尊敬を集めることができたからではないでしょうか。それとは真逆の反国際主義・保護主義の立場で自国の繁栄のみを優先するやり方で、はたして偉大なアメリカを復活させることができるのでしょうか。
今回の選挙結果は英国のEU離脱決定に続く国際社会の潮流を変える大きな出来事といえるでしょう。その背景には、世界で広がる経済格差に対して、多くの市民が不満と不安を覚え、閉塞感を打破するために感情を爆発させていることがあるのではないでしょうか。
日本に最も影響力のある米国の大変化が対岸の火事ですむわけがないでしょう。われわれは、これまで信じてきた常識や価値観が通用しなくなるかもしれない世界の変化を冷静に見極め、柔軟に対応する力を養うと共に、本当に大切なことを見失わないようにしなければ、事業も生活も守っていけなくなるのではないでしょうか。
2016.12.01
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