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【英国EU離脱】

 英国国民投票によりEUからの離脱を決めました。離脱派は離脱の利点として、移民の抑制、EUへの拠出金が不要となる、国の主権の制約がなくなることをあげました。残留派は残留の利点として、関税なしで巨大な単一市場にアクセスできる経済上のメリット、安全保障上の恩恵をあげ、移民政策については経済的にプラス効果の方が大きいと主張しました。

 結果が判明した直後、英国経済の先行きへの懸念から、英ポンドは10%以上値下がりしました。また国際通貨基金は、離脱した場合の2019年の国内総生産が残留した場合に比べ5.6%減少するとの見通しを発表しました。日本企業を含め英国に進出している世界各国のグローバル企業が、英国での事業見直しを迫られています。

 多くの専門家が離脱による経済への悪影響を指摘したにもかかわらず離脱派が勝利した背景に、世界的な排外主義の台頭、不寛容さの蔓延があるのではないでしょうか。世界各地で紛争テロ事件が多発し、憎悪の連鎖は増すばかりです。米国大統領選挙におけるトランプ旋風も排外主義の台頭を象徴しているようです。

 相互依存の関係の上でその営みが成立する人間社会において、他者尊厳を認めることが自己の尊厳を守ることにつながりるといえるでしょう。民族宗教文化の違いを理由に争うことよりも、それらの違いを認め合い、相互依存関係に発展させることが、平和でよりよい社会を作ることにつながるのではないでしょうか。他国に寛容であることは、英国、米国、日本など国際社会の中でになったの当然の責務ではないのでしょうか。

2016.07.01

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