Business Forum Kobe 21
トップページ >月刊コラム >【法人税実効税率】

【法人税実効税率】

 平成28年度税制改正法案が成立しました。政府はこの改正で法人税実効税率20%に引き下げることをことさら強調していますが、はたして納税者のための減税になっているのでしょうか。

 政府は20%台という表現を好んで使いますが、今回の改正で資本金1億円超の大法人の実効税率が29.97%(現在32.11%)と限りなく30%に近い数字になります。一方、資本金1億円以下の中小法人の実効税率は33.8%(現在34.33%)になります。正確に数字を見ると、20%台という表現にはまやかしを感じます。

 さらに、実効税率引き下げの裏で、大法人の赤字でもかかる外形標準課税が大幅に増税されたり、近年の改正で欠損金繰越控除に大幅な制約を設けたりしているのを見ると、担税力の大きい収益性高い巨大企業には減税をし、担税力の小さい収益性低いあるいは赤字の中堅企業には増税をする傾向が見受けられます。特に外形標準課税付加価値割の増税は、給与賃借料利息の支払額に対し課税する構造上、借入が多く、資産を持てなく、雇用を守る企業に、負担が重くのしかかるでしょう。

 世の中には、利益の最大化より雇用を守ることや社会貢献することを大切にする中堅企業がたくさんありますが、そのような社会に必要な会社にペナルティを課すような税制にはなって欲しくないものです。

2016.04.01

月刊コラムのトップページへ
トップページへ
Copyright (c) 2006 Business Forum Kobe21 All Rights Reserved.