平成25年度税制改正法案が成立しました。目先は、企業に対する減税色の強い改正が多くなっていますが、個人にとっては、大増税時代に突き進んでいくように思えます。
所得税の最高税率が45%になり、復興特別税、事業税、住民税と合わせれば、個人事業者の最高税率は60.945%になります。去年までにも各種所得控除が縮減されたり、今年の1月から給与所得控除が縮減されたり、所得課税は増税の一途です。さらに相続税、贈与税の最高税率も55%になり、相続税の基礎控除も4割縮減されます。株式の譲渡所得税も10%から20%に倍増します。ご存じの通り、消費税も2段階で10%まで増税されます。
例えば、100の所得の可処分所得を本人が半分消費し、残りを子に相続して子が消費した場合、いくらを消費出来るか、最高税率で計算してみます。
可処分所得=100×(1-60.945%)=39.055、本人消費金額=39.055×0.5×(1-10%(消費税))=17.575、相続税課税後残額=39.055×0.5×(1-55%)=8.787、子消費金額=8.787×(1-10%)=7.909、消費金額合計=25.483、つまり、最高税率の課税部分の話ではありますが、消費出来るお金は所得の1/4で、残りの3/4は課税されるのです。
特に富裕層にとっては、ますます重税国家になっていき、課税回避のため、国外逃避者が増えていけば、稼ぎ頭が国内からいなくなっていき、逆に税収が減少することも考えられます。
財政健全化のためには、時には増税も必要でしょう。しかし、取り易い所から取り易い方法で税金を取るということを繰り返して、国の活力がますます減退していかないことを、切に願う今日この頃です。